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土器に見る渡来人の息吹

 2014年07月18日 
古墳時代中期の須恵器を中心に紹介されている展示品の数々
 朝鮮半島から伝来した技法によって作られた古墳時代中期(5世紀ごろ)の土器類を多数紹介する特別展「蟻無山古墳の時代−播磨に渡来人きたる−」が有年楢原の赤穂市立有年考古館で18日から始まった。
 播磨地域を中心に出土した初期須恵器や副葬品などにスポットを当て、渡来人がもたらした社会変革を明らかにする。
 同古墳をはじめ上郡町、たつの市、大阪府堺市など9市1町の27遺跡で発掘された個人蔵を含む計516点を集めた。
 千種川流域で最大級の古墳の蟻無山1号墳(有年原)で見つかった高坏型器台は初期須恵器に見られる細やかな手描きの装飾が特徴。波状の文様は朝鮮半島で出土する土器にルーツがある。完全な形をとどめる宿禰塚古墳(相生市)の須恵器、現時点で国内最古の須恵器とされる持ノ木古墳(岸和田市)の出土品、県文化財に指定されている市之郷遺跡(姫路市)の軟質土器など貴重な遺物が並ぶ。
 古墳時代中期は、ヤマト王権で前方後円墳が巨大化していった一方、播磨地域では前方後円墳に代わって突如として帆立貝形古墳と円墳が出現した時代。播磨地域で最も早く帆立貝形古墳が造営されたのが蟻無山古墳で、築かれた5世紀初頭は朝鮮半島から多数の渡来人がやって来た時期と重なる。
 荒木幸治学芸員(37)は「播磨に新たな時代の始まりを告げたのが蟻無山古墳といえる。土器や墓形の変遷から、激動した5世紀の播磨に思いをはせてもらえれば」と見学を呼び掛けている。
 9月15日(月)まで午前10時〜午後4時(火曜休館)。入館無料。7月26日(土)と8月9日(土)は午前10時から学芸員による展示解説を行い、午後1時半からは有年公民館で記念講演会(無料、先着150人)を開催する。TEL49・3488。
 記念講演会の演題と講師は次のとおり。
 ▽7月26日=「蟻無山古墳群を考える−播磨の中期古墳時代」岸本道昭氏(たつの市教育事業部文化財課)
 ▽8月9日=「倭の五王と地域豪族−古墳造営にみる地域支配」高橋克壽氏(花園大学文学部教授)
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掲載紙面(PDF):
2014年7月19日(2096号) 3面 (10,653,781byte)
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