新技術でカキ凍結、鮮度と味そのまま
2015年07月25日
船曳商店が実用化に成功したカキの「プロトン凍結」。カキの鮮度と味をそのままキープできるという
一年を通して良質なカキの提供が可能になるのに加えて海外輸出の展望も開け、ビジネスチャンスが期待されている。
同社は、水分が凍るときに生じる氷の結晶を小さく均一にできる「プロトン凍結機」を3年前に1台導入した。従来の急速凍結に比べて食品細胞の破壊が少なく、解凍時のドリップ量を大幅に減らせ、食材の鮮度と味を維持できるメリットがある。
身入りの良い3月から4月にかけての坂越産カキを水揚げ当日に氷点下35度で凍結してから真空パック。同時に凍らせる量や取り出すタイミングを少しずつ変えながらテストを繰り返した結果ようやくベストの手順を見つけ出した。「デカプリオイスター」の商品名で昨季から出荷を本格化させ、順調に売り上げが伸びているという。
むき身は袋のまま水に浸けて解凍してカキフライやバター焼きに、殻付きは凍ったまま鉄板で15分ほど加熱して蒸しカキに。東京のオイスターバーや百貨店の食料品売り場では「旬の生カキとおいしさがほとんど同じ」と好評。家庭用冷蔵庫の冷凍庫でも保管可能で、飲食店からは「必要な分だけ解凍して使えるので無駄が出ないのがありがたい」という声も届く。
プロトン凍結はこれまで肉や魚などに使われることが多く、カキでの実用化はおそらく全国で初めて。同社は将来の海外展開を見据えて「サムライオイスター」の商標も登録した。
市内では「主婦の店」の赤穂店と尾崎店で購入できる。小売り用とは別に1キログラム入りの業務用パックもあり、船曳社長(62)は「市内の飲食店でもぜひ使ってもらって、『一年中おいしいカキが食べられる街』として赤穂を広めてほしい」と希望を広げている。商品についての問い合わせは同社Tel43・6556(午前8時〜正午)。
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掲載紙面(PDF):
2015年7月25日(2145号) 1面 (11,166,940byte)
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