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戦後七十年・語り継ぐ(4)〜防毒マスクを携行して疎開

 2015年08月06日 
鳥井さんの姉あい子さんが持ち帰った防毒マスク
◆鳥井廣夫さん(80)=坂越
 昭和19年の何月かはわかりませんが、大阪におった一番上の姉が疎開してきました。姉は私より14歳上で、22か23歳やったと思います。大阪帝国大学附属の看護婦養成所を出て、貝塚病院で看護主任をした後、帝大の附属病院で働いとりました。
 姉は不格好な鉄かぶとをかぶって、肩に飯ごうと袋をたすき掛けにして帰ってきました。袋の中は何かいなと思って開けてみたら、防毒マスクでした。
 マスクのラベルには「一七年式防空用防毒面」とあり、「内務省規格品」「配給斡旋 財団法人大日本防空協會」のほか、使用上の注意が印刷されています。看護師にはこうしたものが配給されたんでしょうか。
 そのときすでに何度か使った形跡がありました。装着の練習をしたんだと思います。鉄かぶとをかぶった姉の姿は小学生だった私の心に強烈な印象を残しています。
 * * *
 日本における防毒マスクの生産は、昭和17年4月に初の本土空襲を受けた以降に盛んになり、国民にも配給された。しかし、構造は簡易で、毒ガスから身を守るほどの性能はなかったと思われる。大日本防空協会は防空思想の普及徹底、防空事業の促進を目的に昭和14年に設立。終戦と同時に解散した。
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掲載紙面(PDF):
2015年8月8日・第2部(2148号) 1面 (6,481,900byte)
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