創作きりえ昔話・潮吹き穴と赤穂の塩(七)
2016年07月30日
為吉は、塩分が濃いので、美味しい塩ができるはずだとして、塩作りを始めてみた。千種川の河口には、広く開けた砂浜があり、その砂浜に、海水をたっぷりつけた玉藻を並べて乾かし、それを燃やして、燃えカスの中の塩を集めた。しかし、これだと、たくさんの塩を取ることが出来ない。為吉は、たくさんの塩を取る方法を工夫していった。
海岸に木で干場を作り、海水をたっぷり付けた玉藻をそこにぶら下げていき、太陽と風で水を飛ばし、玉藻が乾いたら、さらに海水につけて、また、それを干す。それを繰り返すと、だんだん塩の濃い海水になる。
その水をさらに釜で煮詰めて塩にして行く方法を考えた。この方法にしたら、少しずつだが、作られる塩の量が増えていった。海藻を使っているせいか、この塩は、とてもおいしくて食べた人は、さらにほしがった。為吉は、その塩を売ることを始めた。塩は人間にとって大事なものだし、どんな食べ物にも味付けで必要だったので、買っていく人が増えてきた。
為吉は、まだまだ工夫をしていった。どうやったら、もっとたくさんの塩分の濃い海水を集めることが出来るかを試してみた。
砂浜でも砂利の上でも、せっかく海水を撒いても、すぐに地面に吸い込まれていってしまう。そこで、吸い込まれてしまわないように、土の上に粘土を敷き詰め、その上に砂を撒いて、その砂の上に海の水を撒いていくことを考えた。この方法だと、海水が地面に吸われることなく、じりじりとした暑い太陽のおかげで、濃い塩分を含んだ砂が出来ることを見つけた。この砂を、海の水で洗い流すと、とりわけ塩分たっぷりの海水になる。
この塩分たっぷりの海水を、大きくて、平らなお皿のようなお鍋の上で、グツグツと何時間も煮ていると、水が飛んでしまい、真っ白な塩が出来ることを見つけた。(作・切り絵 村杉創夢)
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掲載紙面(PDF):
2016年7月30日(2194号) 3面 (10,054,129byte)
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