創作きりえ昔話・潮吹き穴と赤穂の塩(一)
2016年01月16日
漁師が魚をとろうとして舟をだしても、なかなか魚がとれない日々が続いていた。魚だけではない、タコやイカ、えびなども、姿も見えなくなっていた。そして、貝もいなくなっていた。
このあたりの漁師で、為吉という若者がいた。為吉は、お父さんもお母さんもいない。お父さんが残してくれた小さな舟で魚をとりながら、たった一人で暮らしていた。しかし、毎日、海に出るものの、魚一匹とれない日が続いている。魚を売って、そのお金で、食べていかなければならない為吉は、こまりに、こまって、村はずれに住んでいる漁師の長老さんを訪ねた。
「どうして、この辺りに魚がいなくなったんだ?」と聞いてみた。
長老さんは「そうさなー、昔は、ようさんとれよった。魚は、もちろん、貝もとれたし、タコやイカ、エビなんかも、よ―とれたもんじゃ。そうだ。それに、海はもっと、しょっぱかった。昔は、もっと塩辛かった。なにか海の中で大変なことが起こって、だんだん塩が減ってきたんじゃないか。だから、魚がとれないのではないか」という話を聞いてきた。(作・切り絵 村杉創夢)
関連サイト:
【関連記事】切り絵で赤穂の創作むかしばなし
掲載紙面(PDF):
2016年1月16日(2169号) 3面 (12,463,800byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ 赤穂の昔話 ]
「昔話末永く語り継いで」切り絵作家・村杉創夢さん 2022年10月30日
赤穂の昔話・第38話「尼子山落城」 2022年10月29日
赤穂の昔話・第37話「きんこん坊主」 2022年07月16日
赤穂の昔話・第36話「横谷の八畳敷き」 2022年05月21日
赤穂の昔話・第35話「大蛇と入電池」 2022年04月29日
赤穂の昔話・第34話「竹筒で塩を作る人を見た」 2022年03月19日
赤穂の昔話・第33話「ととまの地蔵」(下) 2022年03月12日
赤穂の昔話・第33話「ととまの地蔵」(上) 2022年02月12日
赤穂の昔話・第32話「枯れ尾花」 2022年01月29日
赤穂の昔話・第31話「東海山の観音様」(下) 2021年11月27日
赤穂の昔話・第31話「東海山の観音様」(上) 2021年11月11日
赤穂の昔話・第30話「とんぼ塚」 2021年10月30日
赤穂の昔話・第29話「妙道寺の阿弥陀さま」 2021年08月28日
赤穂の昔話・第28話「猫岩の狐」 2021年07月31日
赤穂の昔話・第27話「蛸の足うまいか」 2021年07月17日
コメントを書く