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関西福祉大学リレーコラム・「心の専門家」は、子どものまわりにいる大人がいちばん!

 2016年10月01日 
 子ども達はささいなことからよくけんかをします。「先生、まる子ちゃんがドッジポールに入れてくれないの」こう聞いて、すぐにまる子ちゃんを叱るのは上手な指導ではありません。
 「どうしてかな。そんないじわるな子じゃないのにね」そこで、まる子ちゃんを呼んで聞くと「途中から入ると組み分けがややこしくなるの、だから最初から入ってって言ったの」「でも、最初はしたくなかったから」どちらにもそれなりに精一杯の正直な気持ちがこもっています。
 どちらが正しいかを越えて、それぞれの言い分を聞いてやること。その時点で、トラブルはもうほぼ解決しています。子ども達のけんかはどちらが正しいかといった論理の整理よりも、感情のぶつかり合いが多く、言い分を分かってくれた時点で感情的に納得がいって解決している場合が多いものです。これは大人でもそうではないでしょうか。
 「泣いている子を見つけたらどうしたらいいか」これは禅問答ではなく、倉橋惣三という幼児教育の先達の問いかけです。みなさんならどうされますか。答えは「横に座っていっしょに泣けばいい」なのです。まずその子の思いを受け止めること、理解すること、そして思い切り『心で』抱きしめてやること、我が子なのですから。子どもは知っています、私のことを親身になって考え、心配してくれるのは誰であるかを。「親身」とは、文字通り親の身になって全身全霊で、ということですから。
 話をちゃんと聞いてやって「なるほど、そう考えるの、あなたの思いはよく分かったよ」と受け止め、受け容れること。それからいっしょに考え、いっしょに悩み、心配し、解決の糸口を探し出すこと、『心で』抱きしめながら二人三脚で。結果についても、いっしょに責任をとれるのは身内だからです。このような意味で、子どもの成長を願う大人は、誰でも「心の専門家」になれるはずだし、ならなければいけないと思います。子どもの成長にとってはそれが一番だからです。
 生きている限りは、悩んだり、迷ったり、間違うのは当然、人生は問題解決の連続ですから。だからこそ、それを楽しみながら、したたかに生きいく力を付けることが大切なのです。私たち自身だけでなく、子ども達にも。
 *子どもだけでなく、大人の学び直しのためにも『絵本仕立て 割合が分かる本』(950円税別)を刊行しました。興味がある方は、本屋さんか、出版社(文溪堂058・398・1111)に問い合わせてみて下さい。(加藤明学長)
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掲載紙面(PDF):
2016年10月1日(2201号) 4面 (11,891,591byte)
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