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創作きりえ昔話・潮吹き穴と赤穂の塩(十)

 2016年10月29日 
 
 塩が売れれば売れたで、それをどのように運んでいくかが問題だった。赤穂から他の町に行くには高取峠と言う峠を越えていかなければならない。坂道が急なので荷車で運んでいくにも、大勢の人がいる。それでも超えていかなければならない峠だった。
 瀬戸の海の中心には浪速の国があり、全国の産物が集まっていた。商人の町、浪速の国まで運ぶには、船で運んだ方が早いし、一度にたくさん運べる。もっとたくさんの塩を売るには、浪速の国に持っていくのが一番だ。
 その船をつないでおく場所も必要だった。そこで、塩田の近くの海岸に、塩を運び出す船が出入りしやすいような船溜まりを作った。石を積み上げ防波堤を築いた。波が入ってこないように工夫した。船の高さと堤防の高さを合わせて、塩を運び込みやすいようにした。この船溜まりのおかげで、船が座礁する恐れもなく、安心して船をつないでおけたのだ。そして大量の塩を運び出すことが出来るようになった。
 塩田は、千種川の河口の近くにある。もしも、洪水になると、塩田は、使えなくなってしまう。その塩田を守るために、千種川で氾濫しそうな場所に、石を積み上げて、堤防を作った。そのおかげで、大雨が降っても、堤防を越えて水が流れ込んでくることは、なかった。
 また、大きな釜で海水を煮詰めるためにマキがたくさんいる。何日間も、火を絶やすことなく燃やし続けるには、たくさんのマキを使うのだ。近くの山の木を切っていたのでは、その山がはげ山になってしまう。遠くからマキを集めるには、お金もかかる。そのため、マキをとるために、山に木を植えて育てることもしていった。幸い、千種川を上流に上っていくと、荒れていない山がたくさんあった。その山の木を伐りだすだけでなく、その後には、次の木が育つように苗木を植えていくことをした。(作・切り絵 村杉創夢)
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掲載紙面(PDF):
2016年10月29日(2204号) 4面 (9,559,213byte)
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