弥生中期最大級の銅鐸復元に成功
2019年02月01日
相生産高機械科の生徒らが上高野銅鐸鋳型を基に鋳造に成功した復元銅鐸
完成した復元銅鐸は高さ約80センチ、重さ約30キロで表面の文様が光り輝く。2月4日(月)に市へ寄贈し、同館で展示される。
同校は2014年度から3年生の選択授業の一つに「銅鐸復元」を導入。地元の金属加工会社や国宝銅鐸のレプリカ製作も手掛ける京都の金工作家、小泉武寛(ぶかん)氏(73)に指導を仰ぎ、これまでに複数の復元銅鐸を自治体や博物館などへ寄贈する実績を挙げてきた。5年目の今年度は別名遺跡出土銅剣(有年考古館所蔵、赤穂市指定文化財)と上高野銅鐸の復元を課題に選定。昨年9月に銅剣復元に成功して以降、銅鐸の復元に専念した。
同館が鋳型から作製した樹脂製レプリカを借り受け、それをベースに砂型を製作。材料として必要な銅は電気実習で余った電線の切れ端を約40キロ分集め、一本一本皮膜を取り除いて調達した。
昨年9月の1回目の鋳込みではコークス炉で1250度に熱した湯(溶かした青銅)の温度が砂型に運ぶ間に下がって失敗。手順を改善して臨んだ2週間後の再チャレンジは成功したかに思えたが、一部に欠損が見つかった。砂型をセットする際にずれたのが原因だった。
3度目の挑戦となった12月19日は小泉氏が来校した。「湯の気持ちになって湯道を作ることを意識して」と助言を受け、息を合わせて湯を流し込んだ。砂型を外すと、直径1センチほどの小さな穴はあったものの、ほぼ思い描いた通りの銅鐸が出来上がっていた。
生徒らは「鋳込みの時、熱さに耐えて必死に青銅を流し込んだ。この経験を卒業後の仕事にも活かしたい」(炭本朔弥さん)、「失敗から多くを学んだ」(地濃未来さん)などと感想。プロジェクトを指導した竹下邦彦教諭は「困難があってもあきらめずに創意工夫で乗り越えることの大切さを実感してもらえたのでは」と振り返った。
国内の銅鐸は弥生後期以降は大型化が進み、「聞く銅鐸」から「見る銅鐸」へと移り変わったとされる。上高野銅鐸鋳型片から推定される銅鐸の大きさは弥生中期では国内最大で、今回の復元品は「聞く銅鐸」のレプリカとしても国内最大となる。
穴を修復してブラシで磨き上げ、音を鳴らすための「舌」と呼ばれる部材を取り付けて完成。寄贈後は来館者が実際に触って音を鳴らすことのできる場所に展示される。竹下教諭は「色や質感の観賞とともに当時の音も楽しんでほしい」と話している。
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コメント
先生や小泉武寛さん(私も銅鐸に関心があって会ったことがあります)の指導があったにしろ見事言うしかありません。従来、錫10%前後、鉛5%前後が常識だったと思います。鉛の方が多い点も驚きです。
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投稿:宗 直也 2019年12月14日コメントを書く