《西有年産廃》県民局長「専門家に言わせて」発言か
2020年02月08日
「報告書」の画像=黒塗り部分は個人情報を含むため編集部が加工
県の基準では、調整池は「30年に1回」(1年の間に発生する確率が30分の1)の大雨を想定して設計するよう定めている。「100年に1回」の大雨を想定させることは、確率的には基準の3倍以上厳しい条件となるが、降雨量に置き換えればそこまでの差はない。県の計算式に当てはめてみると、赤穂市と上郡町を含むエリアの「100年に1回」の雨量目安は「1時間あたり71・9ミリ」で、「30年に1回」の「1時間あたり60・4ミリ」の約1・16倍に過ぎない。県が2015年の水防法改正に伴い、河川管理における想定最大規模降雨を「1000年に1回」に引き上げたことを考えれば、むしろ事業者側に甘い条件との見方もできる。
問題の文書は、昨年7月10日に遠藤局長と副局長、関係法令を所管する各部署の担当者が集まって開いた関係部署会議の「報告書」。会議に出席した姫路土木事務所の担当課長が協議の主な内容をA4判1枚にまとめたものだ。作成日の記載はないが、7月17日に担当課長と面談した市民団体がこの文書を確認しているため、会議から1週間以内に作成されたとみてよい。
赤穂民報が入手した文書の画像によると、「調整池について、知事は100年に1回の大雨の想定で計算しろとのこと」との説明があり、光都土木事務所が「ここだけ100年に1回を採用するというのは難しい」と指摘したところ、遠藤局長が「専門家委員会に言わせて100年に1回を採用すれば良い」と述べた旨が記載されている。上司2人の印鑑があり、この文書が決裁済みの公文書であることを示している。
西播磨県民局の専門家会議は、産廃最終処分場の設置計画に関して「構造及び生活環境保全上の措置について専門家の意見を聴取するため」に2014年に設置。環境リスクや地質学など各関連分野を専門とする有識者5人で構成されている。県は「独立した立場で専門的な意見を述べていただく会議体」(西播磨県民局環境課)と位置付けており、「県が専門家会議に何かを言わせるというようなことはありえない」(同課)という。
「報告書」に記載された発言は事実なのか。また、井戸敏三知事は「100年に1回の大雨の想定で計算しろ」といつ、どこで指示したのか。赤穂民報は3日、井戸知事と遠藤局長宛てに文書で質問したが、「確認に時間がかかる」などとして6日までに回答はなかった。また、「報告書」を作成した担当課長への取材を申し入れたところ、「市民団体との面談で、かなり威圧的な対応があり、取材を受けることによってフラッシュバックを起こすリスクがある」(姫路土木事務所・植田吉則まちづくり参事)として取材に応じさせず、「局長がこのような発言をしたとは考えられない。誤認があるのではないか」と語った。
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2020年2月8日号(2359号) 1面 (8,140,633byte)
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