赤穂の昔話・第11話「コクスケ大明神」(下)
2020年02月22日
「申し訳なかった。お詫びに何でもできることはします。どうか工事を進めさせてくれ」
しかし、狐たちは余りにも勝手すぎる人間の言うことは聞き入れず、妨害を続けました。
弱り果てた人間どもは、かわるがわる謝罪に来ました。誠意が見えてきたので、コクスケは聞き入れることにしましたが、条件を出しました。
「上仮屋地区四か所に、住家の祠をつくってくれること、城の西を流れる川を狐川とすること、この川を、われわれ狐専用の漁場にし、人間には自由にさせないこと」
工事責任者は、コクスケの条件を快く聞き入れました。
その後、コクスケの率いる狐集団は、人間とすっかり仲よくなり、火事の予告や、失せ物の発見等に協力するなどして人間に信頼され、「コクスケ稲荷」「コクスケ大明神」として大事にしてもらいました。
現在残っている祠は、人目につかない淋しい場所にありますが、「コクスケ稲荷大明神」として町内の信仰を集め、2月の初午の日には、お祀りを欠かしたことがないと言われています。
「狐川」は現在は「新川」と改名されています。(赤穂市教育委員会刊『赤穂の昔話 第二集』・「狐川の由来」より)=切り絵・村杉創夢
* * *
【編集部より】「コクスケ稲荷大明神」は2000年(平成12年)に赤穂大石神社の境内社合祀殿に「国助稲荷」として合祀されました。現在も2月の初午に祭礼が行われています。
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掲載紙面(PDF):
2020年2月22日号(2360号) 3面 (7,147,262byte)
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