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つぼつくりのデイヴ

 2020年03月20日 
『つぼつくりのデイヴ』○文/レイバン・キャリック・ヒル○絵/ブライアン・コリアー ○訳/さくまゆみこ ○光村教育図書
 アメリカのサウス・キャロライナ州に住む奴隷のデイヴ(奴隷には名字は許されていません)は毎日、土をこねてつぼ作りに汗していました。
 出来上がったつぼに年号やサインが入っていますが、それは特定の人にあてたメッセージだったのかもしれません。
 「私の家族はどこなのか?すべての人−そして国に、友情を−1857年8月16日」この短い詩のなかに彼の思いが刻まれています。
 デイヴは、自分の生きた証としてつぼ作りを続けてきたのでしょう。
 奴隷という過酷な生活状況の中で、いつか、誰かが、気付いてくれるだろうというかすかな希望を求めてつぼ作りを続けてきたのだとも思います。
 1862年がデイヴの最後のつぼ作りになりました。
 デイヴの作品は、今やアメリカの芸術作品として高く評価され、数少ない彼の詩も、いろいろと論じられるようになっています。
 アメリカ合衆国の奴隷問題に関わる絵本を何冊も手にしました。そのたびに「なぜ?」という思いと、「人種」についての共通理解がなされていないことが、世界の国々の交流をさまたげています。
 どこの国の人とでも、人の手の温もりを伝え合えるはずです。それが世界を変えるきっかけになると信じています。
 私は、輪島で買った漆器でみそ汁をいただいています。漆器職人さんのことが思い出されて、いっそうみそ汁をおいしくいただけます。
 デイヴの手の温もり(心の思い)は、数々のつぼの中で生き続けているでしょう。
  * * *
 『つぼつくりのデイヴ』○文/レイバン・キャリック・ヒル○絵/ブライアン・コリアー○訳/さくまゆみこ○光村教育図書
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掲載紙面(PDF):
2020年3月20日号(2364号) 2面 (5,572,181byte)
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