関福大リレーコラム・STEAMからみる理科教育(1)〜生命編
2022年03月12日
このような時代に求められる教育とは何でしょうか? それは、幅広い分野で新しい価値を提供できる人材の育成です。理科教育では、STEAM教育が当てはまります。STEAMとは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Art)、数学(Mathematics)を指します。各教科を横断した学習が求められているのです。
小学校3年生では、「昆虫の体のつくり」という単元があります。様々な虫を比較しながら、昆虫の体のつくりを調べます。最近は、虫嫌いの児童や教員が多いことが問題になっています。生きた昆虫を触って観察することが難しいのです。
デジタルな時代も重なり、パソコンやタブレットなどを用いた学習が進んでいます。例えば、NHK for Schoolの「ものすごい図鑑」です。この図鑑は、昆虫を360度、どの角度からも観察できます。触覚には毛があること。目はツブツブの集まりであること。拡大することで、見えてくる世界があります。
生きた昆虫を肉眼で見るよりも、はるかに細かく観察できる。いつでも何度でも観察できる。これは、デジタル教材の良いところです。
ある論文に、「生きた昆虫を扱わない授業は、児童が昆虫の体を正しく理解できない」という報告がありました。生きた昆虫からしか学べないこともたくさんあります。チョウを触るとサラサラとした粉が付く。これは体験からしか学べないことです。
授業ではモンシロチョウやアリなどの生きた昆虫も準備します。動いて分かりにくい時もあります。そういう時には、タブレットやカメラの登場です。昆虫を写真や動画で撮影してじっくり観察します。
授業の後半では、粘土で昆虫をつくり、体の構造を確認します。
こういった、科学、技術、芸術などの教科の枠組みを超えた授業が、理科教育では求められています。それを指導できる人材の育成に力を入れています。(教育学部児童教育学科講師・吉澤樹理)
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2022年3月12日号(2454号) 3面 (7,716,594byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ かしこい子育て ]
関福大リレーコラム・何をおいても知的好奇心と自尊感情を育てること 2020年01月25日関福大リレーコラム・賢く、粘り強くがんばる力こそが重要 2020年01月09日関福大リレーコラム・教育改革における民主主義の再考 2019年12月21日関福大リレーコラム・義務教育って何? 2019年11月23日関福大リレーコラム・「なぜ、勉強するのか?」を考える 2019年11月09日関福大リレーコラム・「教育のパラドクス」を考える 2019年10月05日関福大リレーコラム・礼儀作法は『厳しさ』の美学 2019年09月28日関福大リレーコラム・意欲を育てるには 2019年09月07日関福大リレーコラム・地形にふれてみましょう 2019年08月24日関福大リレーコラム・話し言葉は心を写す鏡 2019年07月20日関福大リレーコラム・ラジオ体操のススメ 2019年07月06日関福大リレーコラム・眠育のススメ 2019年06月22日関福大リレーコラム・ネット断ちのススメ 2019年06月08日関福大リレーコラム・外遊びのススメ 2019年05月25日関福大リレーコラム・子どもの「やる気」とは? 2019年05月11日
コメントを書く