下水施設のポンプ故障 更新工事が異例の停滞
2022年05月21日
赤穂市の下水道施設「加里屋中継ポンプ場」で、仮設を含めて4基あるポンプ設備のうち1基が1年以上故障したままになっている。
市によると、入札により機械設備整備工事を請け負う業者は決定したものの、「契約事項に係る協議」などに時間を要しているとして、現場での工事が着手されないまま工期が2度延長される異例の事態となっており、汚水処理に支障が生じないか懸念される。
同ポンプ場は下水道管の埋設があまりにも深くなることを避けるため、汚水を一旦汲み上げて処理場がある下水管理センターへ自然流下させるための施設。赤穂市の下水処理区域全体の74%に相当する面積から流れてくる汚水が同施設を中継する。常設ポンプ2基(1基で毎分17立方メートルの揚水能力)と仮設ポンプ2基(15立方メートル、10立方メートル)を備え、最大で毎分59立方メートルの汚水を処理できるとされる。
市によると昨年4月28日、常設ポンプ1基の故障を知らせるアラームが鳴り、確認したところ、鋼鉄製のシャフトに長さ60センチ程度の亀裂が見つかった。亀裂によって生じたゆがみでポンプのスクリューが側壁に引っかかったとみられ、物理的に稼働できない状態だという。常設ポンプは2基とも同施設の供用が始まった1981年に導入され40年が経過。「経年劣化による動作不良」(下水道課)とみて「まず今回故障したポンプを更新し、続いてもう一方の常設ポンプを更新する必要がある」として整備計画を立てたという。
故障したポンプを更新する施工業者を決める入札は昨年8月に行われ、3社が応札した結果、最低制限価格(4344万円)に最も近かった市内の土木工事会社が4895万円で落札した。他の2社は8880万円と9980万円だった(金額はいずれも税抜き)。今年3月18日までに工事を完了する計画だったが、「ポンプの機器選定に時間を要している」(同課)として同月末まで工期を延長。さらに、「受注業者との契約事項に係る協議に時間を要している」などとして来年2月24日まで工期が延びた。詳しい協議内容については「相手のあることなので話せない」と詳細を明らかにしていない。
赤穂市の下水道は雨水と汚水で管路を分けて排水する「分流式」を採用しており、汚水菅のみが接続されている加里屋中継ポンプ場では普段は常設ポンプ1基による断続的な稼働で処理が間に合っているという。しかし、大雨の場合はマンホール蓋の隙間や下水管の継ぎ目から浸入した雨水で流入量が増大し、複数のポンプを動かさなければ汲み上げが追いつかない状況になることも。実際に2020年7月8日には4基すべてを稼働したという。
ポンプが故障したまま出水期が近づく中、同課は「たとえポンプ能力を超える流入が見込まれる状況になったとしても、ポンプ場のゲートで流入量を調節して手前の下水管網に一時的に貯留できるため、ただちに汚水があふれ出ることにはならない」と説明する。しかし、想定を超える長時間の大雨や、もう1基の常設ポンプが故障するリスクもあり、「100%大丈夫とは言えない。できるだけ早く、故障したポンプの更新を完了すべきと考えている」と話している。
掲載紙面(PDF):
2022年5月21日号(2462号) 3面 (8,115,688byte)
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4基あるポンプのうち1基が1年以上故障したままになっている加里屋中継ポンプ場
市によると、入札により機械設備整備工事を請け負う業者は決定したものの、「契約事項に係る協議」などに時間を要しているとして、現場での工事が着手されないまま工期が2度延長される異例の事態となっており、汚水処理に支障が生じないか懸念される。
同ポンプ場は下水道管の埋設があまりにも深くなることを避けるため、汚水を一旦汲み上げて処理場がある下水管理センターへ自然流下させるための施設。赤穂市の下水処理区域全体の74%に相当する面積から流れてくる汚水が同施設を中継する。常設ポンプ2基(1基で毎分17立方メートルの揚水能力)と仮設ポンプ2基(15立方メートル、10立方メートル)を備え、最大で毎分59立方メートルの汚水を処理できるとされる。
市によると昨年4月28日、常設ポンプ1基の故障を知らせるアラームが鳴り、確認したところ、鋼鉄製のシャフトに長さ60センチ程度の亀裂が見つかった。亀裂によって生じたゆがみでポンプのスクリューが側壁に引っかかったとみられ、物理的に稼働できない状態だという。常設ポンプは2基とも同施設の供用が始まった1981年に導入され40年が経過。「経年劣化による動作不良」(下水道課)とみて「まず今回故障したポンプを更新し、続いてもう一方の常設ポンプを更新する必要がある」として整備計画を立てたという。
故障したポンプを更新する施工業者を決める入札は昨年8月に行われ、3社が応札した結果、最低制限価格(4344万円)に最も近かった市内の土木工事会社が4895万円で落札した。他の2社は8880万円と9980万円だった(金額はいずれも税抜き)。今年3月18日までに工事を完了する計画だったが、「ポンプの機器選定に時間を要している」(同課)として同月末まで工期を延長。さらに、「受注業者との契約事項に係る協議に時間を要している」などとして来年2月24日まで工期が延びた。詳しい協議内容については「相手のあることなので話せない」と詳細を明らかにしていない。
赤穂市の下水道は雨水と汚水で管路を分けて排水する「分流式」を採用しており、汚水菅のみが接続されている加里屋中継ポンプ場では普段は常設ポンプ1基による断続的な稼働で処理が間に合っているという。しかし、大雨の場合はマンホール蓋の隙間や下水管の継ぎ目から浸入した雨水で流入量が増大し、複数のポンプを動かさなければ汲み上げが追いつかない状況になることも。実際に2020年7月8日には4基すべてを稼働したという。
ポンプが故障したまま出水期が近づく中、同課は「たとえポンプ能力を超える流入が見込まれる状況になったとしても、ポンプ場のゲートで流入量を調節して手前の下水管網に一時的に貯留できるため、ただちに汚水があふれ出ることにはならない」と説明する。しかし、想定を超える長時間の大雨や、もう1基の常設ポンプが故障するリスクもあり、「100%大丈夫とは言えない。できるだけ早く、故障したポンプの更新を完了すべきと考えている」と話している。
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