値上げ検討、施設廃止も 18年ぶり「集中改革プラン」
2023年06月03日
「現実の歳入規模に見合った行財政構造への見直し」を図ろうと、赤穂市は今年度から5か年計画で取り組む第9次行政改革大綱「集中改革プラン」を策定した。
今後5年間で歳入確保と歳出削減を合わせて193項目に取り組み、約23億円の財政改善効果を見込んでいる。
市の試算では今年度から2027年度までの5年間で一般会計は合計約54億4000万円の歳出超過が見込まれ、来年度には市の貯金である財政調整基金が底をつくとされる。▽基金の取り崩しに頼らない収支均衡の取れた行財政構造を構築▽あらゆる手段を講じた歳入の確保▽既存及び今後予定している事務事業について、例外なくゼロベースを基調に見直し▽時代の変化や市民ニーズに的確に対応した『選択と集中』を徹底―といった基本方針の下、財政収支改善の数値目標を立てて集中的に行財政改革に取り組む「集中改革プラン」を05年度以来18年ぶりに策定した。
国の「三位一体改革」に伴い全国の自治体が横並びに取り組んだ前回のプラン策定とは異なり、今回は赤穂市独自の取り組みとなる。各所管から提出された歳入確保策と歳出削減策の合計193項目がすべて計画通り実行された場合の効果額を「約23億5737万円」と試算している。
具体的な取り組み項目の例を挙げると、▽火葬施設使用料の見直し▽ごみ処理場使用料の見直し▽加里屋駐車場、ふれあいパーキングの有料化▽ふるさとづくり寄付金の確保▽武道館の将来的な統合、廃止を検討▽老人福祉センター(万寿園)の廃止▽市内循環バスの運賃見直し▽花と緑のフェスティバルの廃止▽市美術展の出品料徴収▽公共施設照明器具のLED化▽各種補助金や負担金の縮減―など多岐にわたり、市民生活に直接影響を及ぼす項目も含まれる。
市は、これらの取り組みについて「予算編成及びその執行状況により具体的に実現する」とし、今後は毎年内容を検証して議会への報告と市民への公表を行う。国や県の動向に弾力的に対応するため、取り組み項目の追加や変更など必要に応じて見直すなど柔軟に対応する、としている。
* * *
万寿園
今年度末で廃止の方針
赤穂市が「廃止」の方針を明らかにした老人福祉センター「万寿園」。集中改革プランでは今年度末でサービスを停止し、施設を廃止する方針だ。
1969年に御崎の野外活動センター近くに開設。市内に居住する60歳以上を対象に月曜と祝日、年末年始を除く午前9時〜午後4時半に利用できる。火曜から金曜は介護保険サービスの対象とならない65歳以上が利用できる「生きがいデイサービス」(1回250円)がある。自宅近くから無料送迎し、看護師の健康チェックや作業療法士による健康体操のほかレクリエーションや足湯などを提供している。
市がまとめた過去10年の年間利用者数によると、2013年度の3560人をピークに減少傾向がみられ、19年度は2311人だった。コロナ禍の21年度は1289人が利用。鉄筋コンクリート造2階建ての建物は築50年以上が経過しているが、「建物自体に大きな問題はない」(市社会福祉課)という。
市によると、廃止による効果額の見込みは年間約1122万円。同課は「利用者の平均年齢は80代。いわゆる『団塊の世代』を中心に高齢者のニーズが多様化し、利用者減少につながっているのではないか。市の財政が厳しい中、廃止はやむを得ない」とし、「廃止に向けて利用者への説明や代替サービスの紹介、健康づくりの環境整備を進めていきたい」と話している。
掲載紙面(PDF):
2023年6月3日号(2509号) (6,376,209byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
今後5年間で歳入確保と歳出削減を合わせて193項目に取り組み、約23億円の財政改善効果を見込んでいる。
市の試算では今年度から2027年度までの5年間で一般会計は合計約54億4000万円の歳出超過が見込まれ、来年度には市の貯金である財政調整基金が底をつくとされる。▽基金の取り崩しに頼らない収支均衡の取れた行財政構造を構築▽あらゆる手段を講じた歳入の確保▽既存及び今後予定している事務事業について、例外なくゼロベースを基調に見直し▽時代の変化や市民ニーズに的確に対応した『選択と集中』を徹底―といった基本方針の下、財政収支改善の数値目標を立てて集中的に行財政改革に取り組む「集中改革プラン」を05年度以来18年ぶりに策定した。
国の「三位一体改革」に伴い全国の自治体が横並びに取り組んだ前回のプラン策定とは異なり、今回は赤穂市独自の取り組みとなる。各所管から提出された歳入確保策と歳出削減策の合計193項目がすべて計画通り実行された場合の効果額を「約23億5737万円」と試算している。
具体的な取り組み項目の例を挙げると、▽火葬施設使用料の見直し▽ごみ処理場使用料の見直し▽加里屋駐車場、ふれあいパーキングの有料化▽ふるさとづくり寄付金の確保▽武道館の将来的な統合、廃止を検討▽老人福祉センター(万寿園)の廃止▽市内循環バスの運賃見直し▽花と緑のフェスティバルの廃止▽市美術展の出品料徴収▽公共施設照明器具のLED化▽各種補助金や負担金の縮減―など多岐にわたり、市民生活に直接影響を及ぼす項目も含まれる。
市は、これらの取り組みについて「予算編成及びその執行状況により具体的に実現する」とし、今後は毎年内容を検証して議会への報告と市民への公表を行う。国や県の動向に弾力的に対応するため、取り組み項目の追加や変更など必要に応じて見直すなど柔軟に対応する、としている。
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万寿園
今年度末で廃止の方針
赤穂市が「廃止」の方針を明らかにした老人福祉センター「万寿園」。集中改革プランでは今年度末でサービスを停止し、施設を廃止する方針だ。
1969年に御崎の野外活動センター近くに開設。市内に居住する60歳以上を対象に月曜と祝日、年末年始を除く午前9時〜午後4時半に利用できる。火曜から金曜は介護保険サービスの対象とならない65歳以上が利用できる「生きがいデイサービス」(1回250円)がある。自宅近くから無料送迎し、看護師の健康チェックや作業療法士による健康体操のほかレクリエーションや足湯などを提供している。
市がまとめた過去10年の年間利用者数によると、2013年度の3560人をピークに減少傾向がみられ、19年度は2311人だった。コロナ禍の21年度は1289人が利用。鉄筋コンクリート造2階建ての建物は築50年以上が経過しているが、「建物自体に大きな問題はない」(市社会福祉課)という。
今年度をもって廃止される方針の老人福祉センター「万寿園」
市によると、廃止による効果額の見込みは年間約1122万円。同課は「利用者の平均年齢は80代。いわゆる『団塊の世代』を中心に高齢者のニーズが多様化し、利用者減少につながっているのではないか。市の財政が厳しい中、廃止はやむを得ない」とし、「廃止に向けて利用者への説明や代替サービスの紹介、健康づくりの環境整備を進めていきたい」と話している。
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2023年6月3日号(2509号) (6,376,209byte)
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