市民病院経営形態 外部諮問方針を撤回
2025年01月18日
赤穂市民病院(高原秀典・病院事業管理者)は、経営改善目標値を2年連続で達成できなければ経営形態の見直しを即座に外部有識者委員会に諮問するとしていた方針を撤回した。
牟礼正稔市長が12月議会で表明した「令和9年度(2027年度)までは現行の経営形態(地方公営企業法全部適用)を維持する」との意向を受けたもの。一方、市は市民病院の経営形態について検討する場を市長部局主導で設置する考えを示した。
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当初は「2年連続目標未達成なら即座に諮問」
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市民病院をめぐっては、資金不足比率が10%を超えることが確実となった2021年8月に「抜本的な経営の見直しを検討するため」として牟礼市長が外部有識者委員会を設置。委員会は「現行の経営形態を維持することが『適当』」と答申すると同時に「専門家が経営状況を定期検証できる仕組みづくり」を提案して解散した。提案を受け、病院は22年4月、「年度単位で設定する経営改善の目標値を2年連続で達成できなければ、経営形態の見直しを即座に外部有識者委員会に諮問する」との方針を定め、議会に報告した。
22年度は新型コロナの空床・休床補償補助金が収入を押し上げたことで目標値をクリアしたものの、23年度は達成できなかった。病院が設定している今年度の目標値は純損失を約5億1600万円以内に抑えるというものだが、患者数が入院、外来とも前年度よりも減少し、2年連続で目標に達しないことがほぼ確実な情勢だという。病院は、損失を補うための一時借入金がふくらみ続ければ、「26年度には一時借入金の限度額(30億円)を超えていく」(財務課)と試算している。
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外部有識者委も了承
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こうした状況を踏まえ、市が新たに設置した外部有識者委員会「赤穂市民病院経営改善検証委員会」(委員長=谷田一久・東京都立大学客員教授)は昨年7月の時点で「市の責任において経営形態の移行について検討する場を速やかに構築することが必要」と、準備に取りかかるよう報告書で進言。しかし、牟礼市長は「検証委の報告書は承知しているが、経営形態の移行について検討する考えはない。病院事業については、引き続き地方公営企業法の全部適用で運営する」と外部有識者委員会の提案に従わない意向を表明した。
その後も市長のスタンスは変わらず、先月9日の市議会一般質問でも「令和9年度まで全部適用でいく考え方に変わりはない」「令和9年度に改めて考えるべき」「市民病院の赤字を一般会計から支援するのは当然」「(経営形態を検討する場については)病院と相談して考えたい」などと答弁。市長の意向を受け、病院は先月24日の外部有識者委員会で、経営改善目標値を2年連続で達成できなかったとしても経営形態の見直しを諮問しない意向を報告。病院関係者の話では、「異論を述べた委員もあったが最終的には了承された」という。
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市長部局主導で「検討する場」
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一方、先月26日にあった市議会特別委では溝田副市長が「経営形態を検討する場を構築する。市長と病院が協議して決定した。市長部局側でしっかり体制づくりを進める」と、市が主導して取り組む姿勢を示した。検討する場を構築する時期については「早急に」「そう遠くないうちに」と語るにとどめ、明確にしなかった。「(2027年度まで現行の経営形態を維持することは)決定ではない。刻々と変わる状況を慎重に判断していかなければならない」とも述べ、27年度を待たずに経営形態を見直す余地も残した。
「27年度までは現行の経営形態を維持する」との市長の意向は、今後も揺らぐことのない覚悟の上での決意なのか、あるいは希望的観測に過ぎないのか。赤穂民報はその真意を確かめるべく取材を申し込んだが、秘書を通じて「議会で発言したとおり」とだけ回答し、取材に応じなかった。
掲載紙面(PDF):
2025年1月18日号(2583号) 1面 (5,936,908byte)
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牟礼正稔市長が12月議会で表明した「令和9年度(2027年度)までは現行の経営形態(地方公営企業法全部適用)を維持する」との意向を受けたもの。一方、市は市民病院の経営形態について検討する場を市長部局主導で設置する考えを示した。
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当初は「2年連続目標未達成なら即座に諮問」
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市民病院をめぐっては、資金不足比率が10%を超えることが確実となった2021年8月に「抜本的な経営の見直しを検討するため」として牟礼市長が外部有識者委員会を設置。委員会は「現行の経営形態を維持することが『適当』」と答申すると同時に「専門家が経営状況を定期検証できる仕組みづくり」を提案して解散した。提案を受け、病院は22年4月、「年度単位で設定する経営改善の目標値を2年連続で達成できなければ、経営形態の見直しを即座に外部有識者委員会に諮問する」との方針を定め、議会に報告した。
22年度は新型コロナの空床・休床補償補助金が収入を押し上げたことで目標値をクリアしたものの、23年度は達成できなかった。病院が設定している今年度の目標値は純損失を約5億1600万円以内に抑えるというものだが、患者数が入院、外来とも前年度よりも減少し、2年連続で目標に達しないことがほぼ確実な情勢だという。病院は、損失を補うための一時借入金がふくらみ続ければ、「26年度には一時借入金の限度額(30億円)を超えていく」(財務課)と試算している。
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外部有識者委も了承
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こうした状況を踏まえ、市が新たに設置した外部有識者委員会「赤穂市民病院経営改善検証委員会」(委員長=谷田一久・東京都立大学客員教授)は昨年7月の時点で「市の責任において経営形態の移行について検討する場を速やかに構築することが必要」と、準備に取りかかるよう報告書で進言。しかし、牟礼市長は「検証委の報告書は承知しているが、経営形態の移行について検討する考えはない。病院事業については、引き続き地方公営企業法の全部適用で運営する」と外部有識者委員会の提案に従わない意向を表明した。
その後も市長のスタンスは変わらず、先月9日の市議会一般質問でも「令和9年度まで全部適用でいく考え方に変わりはない」「令和9年度に改めて考えるべき」「市民病院の赤字を一般会計から支援するのは当然」「(経営形態を検討する場については)病院と相談して考えたい」などと答弁。市長の意向を受け、病院は先月24日の外部有識者委員会で、経営改善目標値を2年連続で達成できなかったとしても経営形態の見直しを諮問しない意向を報告。病院関係者の話では、「異論を述べた委員もあったが最終的には了承された」という。
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市長部局主導で「検討する場」
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一方、先月26日にあった市議会特別委では溝田副市長が「経営形態を検討する場を構築する。市長と病院が協議して決定した。市長部局側でしっかり体制づくりを進める」と、市が主導して取り組む姿勢を示した。検討する場を構築する時期については「早急に」「そう遠くないうちに」と語るにとどめ、明確にしなかった。「(2027年度まで現行の経営形態を維持することは)決定ではない。刻々と変わる状況を慎重に判断していかなければならない」とも述べ、27年度を待たずに経営形態を見直す余地も残した。
「27年度までは現行の経営形態を維持する」との市長の意向は、今後も揺らぐことのない覚悟の上での決意なのか、あるいは希望的観測に過ぎないのか。赤穂民報はその真意を確かめるべく取材を申し込んだが、秘書を通じて「議会で発言したとおり」とだけ回答し、取材に応じなかった。
「経営改善目標値を2年連続で達成できなければ経営形態の見直しを即座に外部有識者委員会に諮問する」としていた方針を撤回した赤穂市民病院
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