心癒す季節の日本画、25年続く善意
2011年04月02日
25年間にわたって日本画を提供し続けている室井澄さん(左)
新田の室井澄さん(91)=本名・仁三=。17歳で仏画の石川晴彦に入門し、花鳥画の立脇泰山らに指事。美人画の寺島紫明から薫陶を受けた。創彩展内閣総理大臣賞など多くの入賞歴を誇る。
作品提供が始まったのは昭和60年ごろ。室井さんの主治医であり、絵画指導でも親交のあった故古城猛彦・初代院長から依頼を受けた。ちょうど、国道をはさんで建つ西館と南館をつなぐ地下通路が開通。手術やリハビリの患者が通る廊下の壁面が展示場所となった。
「自分が目にした感動やロマンを伝えたい」と早春には雪解けの大山、梅雨どきには色鮮やかなアジサイなど時節に合わせた小品、色紙を提供してきた。あるとき、いつものように作品入れ替えに訪れると、車いすに乗ったお年寄りの女性から「絵で心が和みます」と話しかけられた。「自分の絵を喜んでくれる人がいるのなら」と、初代院長が亡くなった後も毎回5点の新作展示を守ってきた。
「一枚の絵が薬以上の効果をもたらすことがある、と猛彦先生と話したことが今も心に残っています」と室井さん。長尾俊彦院長は「作品のおかげで患者さんも我々職員も、ここを通るたびに心を癒される。本当にありがたい」と感謝の意を表している。
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掲載紙面(PDF):
2011年4月2日(1939号) 1面 (8,760,281byte)
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