今年４月の兵庫県議選相生市選挙区をめぐる選挙違反事件で、公選法違反（買収）の罪に問われている元赤穂市議、池田芳伸被告（６０）の第２回公判が８日、神戸地裁姫路支部であり、検察側が「民主主義の根幹をなす選挙の公正を害する行為で厳重に処罰すべき」として、懲役１０カ月を求刑した。判決公判は７月１９日（火）午前１０時から。
　起訴状などによると、池田被告は同選挙で落選した谷口隆司被告（６０）＝同罪で公判中＝と共謀し、相生市栄町の後援会事務所で３月１９日から２２日ごろ、運動員３人に対し、選挙運動への報酬として日当１万５０００円を供与することを約束。また、４月１１日ごろには選挙運動の報酬として運動員６人に現金計約５４万円を渡したとされる。
　検察側は論告求刑で、「被告は過去に何度も自身や知人の選挙運動を行い、選挙知識に精通している。行為の違法性について十分に認識していたのであり、非常に悪質。当選させるためなら不正行為をいとわないという身勝手な動機に酌量の余地はない」などと断罪。「行為の重大性を十分に認識させ、真摯な反省を求めることが必要不可欠」と求刑した。
　弁護側は起訴事実を改めて認めた上で、「逮捕後２カ月近くも身柄を拘束されて父親の死に目にも会えず、すでに身体的、精神的、社会的な制裁を受けている。再犯の可能性はなく、寛大な判決を」と情状酌量を求めた。
　この日の公判では、弁護側、被告側双方が被告人質問を行った。池田被告は、被告代理人からの「選挙運動員は基本的にボランティアだが現実はどうか」との問いかけに、「よほどの団体、組織があるなら別だが、一般的にボランティアの運動員を集めてくることはほとんど不可能に近い」と説明。裁判長から「谷口さんの人柄や政策に共感して手伝ってくれる人はいないということか」と尋ねられると、「何とも言えない。来てくれる人は多いが、連日中枢で手伝ってくれるのは難しい」と答えた。また、検察官から心境を問われた場面では、「申し訳ないが、この程度のことで捕まるとは夢にも思わなかった」と語気を強めた。

＜前の記事

次の記事＞

掲載紙面（PDF）：
2011年7月16日(1952号) 3面 (8,002,233byte)
　（PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。）