夏季のマガキ養殖に県下初成功
2012年07月27日
兵庫県下で初めてマガキの夏季出荷に成功した「なつみ牡蠣」
夏に抱卵するマガキは、おいしさの源となるグリコーゲンを気温の上昇とともに産卵準備に消費。そのため、5月(May)から8月(August)までの「『R』がつかない月のカキは食用に向かない」と言われてきた。
そんな中、坂越湾では5年ほど前から養殖業者有志が夏季生産にチャレンジ。研究と試行錯誤を重ね、今季は約2トンを出荷できるまでに技術を確立した。北海道、広島などで先行事例があるが、兵庫県水産技術センターによると、「県内では聞いたことがない」という。
卵を持ちにくい三倍体を種ガキに使用。冬場と潮の流れが異なる沖合でプランクトンが豊富な海域を探し出して養殖いかだを備え付けた。一定サイズになれば一粒ずつ籠の中で育てる「活かし込み」に切り替え、毎日のように船を出して成長具合をチェック。大きいものは冬季よりも1・5倍のサイズまで育てて水揚げするという。
「なつみ牡蠣」を使った料理メニューを提供している赤穂ロイヤルホテルの山田実総料理長は「身が引き締まって肉厚で味が濃厚。岩ガキよりも単価が低く、夏の赤穂の新名物になるのでは」と高く評価。他の飲食店と合同でプロジェクトチームを作り、新メニューの考案にも取り組んでいるという。
専門機関による衛生検査を受け、生食もOK。8月末ごろまで出荷する。「冬のカキとは一味違う味わい。ぜひ一度、賞味して」と大河社長(52)。初秋から晩秋にかけて収穫できる品種研究にも取り組んでいるといい、「いずれは一年を通してカキを味わってもらいたい」と話している。
今季は業務向けのみ出荷。赤穂市内では次の各店で提供している。
▽くいどうらく▽海辺のほったて小屋▽赤穂ロイヤルホテル▽鹿久居荘赤穂店
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掲載紙面(PDF):
2012年7月28日(2000号) 3面 (7,112,547byte)
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