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市職員倫理調査、「接待」など30件

 2008年01月12日 
 赤穂市は、昨年11月に実施した職員倫理行動調査の結果をこのほどまとめ、「利害関係者からの接待や物品贈与など不適切な行為30件が見つかった」と公表した。市は調査結果と同時に不祥事再発防止策を発表。当初は来年度から導入予定だった違法・不当行為についての内部通報制度などを前倒しして今月1日付けで施行した。「新年を機に、相次いだ不祥事で失墜した信用を回復したい」(市)とのねらいだが、「調査は表面的で実態はまったく明らかになっていない」(建設土木業界関係者)との声も聞かれ、「市民に対するけじめ」になったとは言い難い。
  * * *
■規範抵触は「18人30件」
 倫理行動調査は昨年11月、育休などを除く全職員937人を対象に記名式で実施。市倫理行動規範を制定した平成15年8月以降について、利害関係者との間で▽接待、金銭贈与を受けたことがあるか▽食事や旅行、ゴルフなどをしたことがあるか―など10項目を質問し、全員から回答を得た。
 市人事課のまとめによると、「金銭、物品または不動産の贈与を受けた」(11件)「一緒に食事をした」(9件)「内部情報等をもらした」(3件)など、質問に対して「ある」と回答したのは18人延べ30件だった。禁止行為を行った職員、関係者の氏名は公表していない。
 市はこれらの職員からヒアリングを行い、「中元、歳暮を受け取らないこと」「割り勘でもゴルフや旅行に行かないこと」など個々に指導、注意。「調査結果を懲戒審査委員会で精査し、適正に対処する」としている。
 「これまでの風土が不祥事の要因になったことは事実。今後は業者との対応を厳正に行っていく」方針で、各種事業組合などに対しても職員への接待や贈答をしないように市長名で要請する。
 「職員にルールを再認識させるとともに、市民に対してのけじめをつける目的。正直に答えてくれたものと信じている」(同課)と言うものの、職員の間からも「正直者がばかを見た」とやゆする声があるほどで、ねらい通りの成果を得られたか疑問が残った。
 調査結果の主な内容は次のとおり。
 〔利害関係者からの接待〕
 ▽土地改良区、営農団体等の総会や役員改選、事業終了時等に慰労会、懇親会などに参加。
 ▽漁業協同組合の総会、役員改選時等に、懇親会等に参加。
 ▽剣道連盟等の団体と大会の終了時等に慰労会、打上げといったものに招待され参加。
 ▽観光協会の総会のあと、二次会に参加。
 〔利害関係者と食事〕
 ▽各種団体等の総会屋役員改選、大会の終了時などに慰労会、懇親会、打上げといったものに割り勘等で参加。
 ▽昼食をとりながら行われるセミナーに参加し、主催者とともに食事をした。また、会議が深夜に及び、製薬業者と夜食をともにした。
 〔利害関係者から金銭、物品または不動産の贈与〕
 ▽建設業者等からの中元、歳暮を受け取った(送られてきた物や、受け取りを拒否できなかった物について同様の品物を返したケースを含む)
 ▽漁業協同組合からかき等の海産物をもらった。
 〔利害関係者からの無償サービス提供〕
 ▽研究会等に参加し、時間が遅くなったりした場合に、主催者側からタクシーチケット等をもらった。
 〔利害関係者との旅行やゴルフ、遊戯〕
 ▽割り勘で業者とゴルフをした。
 〔利害関係者に内部情報等をもらした〕
 ▽退職した元上司に設計額を尋ねられ、概数を教えた(平成15年以前)。
 ▽業者から設計金額がどれくらいかを聞かれ、設計額は教えていないが、あやふやな答え方をした。
  * * *
■不祥事の再発防止に新制度
 職員による不祥事の再発を防止しようと市は、行政運営上の違法・不当な行為を内部通報する仕組みを制度化。職務に関する外部からの「働き掛け」を上司へ報告する仕組みについても要綱を定めた。また、法令順守体制を確立するために「市コンプライアンス委員会」を新たに設置した。いずれも1月1日から施行した。
 「赤穂市職員の内部通報に関する要綱」によると、法令違反や市民の生命または健康に重大な損害を与えるおそれがあるなど、「市民全体の利益を損ない、行政に対して著しく損害をもたらすおそれのある行為」について、「市内部通報委員会」に直接知らせるよう定めた。
 通報は原則実名で行うものとしているが、行為の違法・不当性を客観的に証明できる資料があれば匿名でもよい。
 委員会は市幹部職員と外部の有識者で構成し、通報があった場合に受理または不受理を決定する。受理した場合は遅滞なく事実確認のための調査を開始しなければならない。
 また、「赤穂市職員に対する働き掛けの取扱いに関する要綱」は、勤務時間の内外を問わず職員が市民、事業者、公職者などから不当な依頼、要望などを受けた場合に所属長への報告を義務付けるもの。内容が重要であると判断した場合は市長まで報告しなければならない。
 会議など公開の場における働き掛けや文書で行われたものは対象としない。
 市人事課は「これらの制度により、不正を未然に防ぐ抑止力としたい」と効果を期待するが、市幹部が不正に関わっている場合など、これらの仕組みでカバーできないケースも予想される。
  * * *
■不正の防止は人材育成から
 さらに市は職員育成の方向性と方策をまとめた「赤穂市人材育成基本方針〜求められる職員像を目指して〜」を策定。全職員に配布した。
 研修制度の充実、人事管理システムの改善などを人材育成の柱に据え、「この方針が『絵に描いた餅』にならないよう、チェックと見直しを行っていく」としている。
 近く係長以上を対象に説明会を実施し、周知徹底を図る。市人事課は「受け身ではなく自ら進んで自己研さんに努めるよう、職員の意識改革を促したい」と話している。
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【関連記事】職員のやる気生む人事を


掲載紙面(PDF):
2008年1月12日(1774号) 1面 (9,171,542byte)
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