大石神社で特別展「内蔵助とその一族」
2014年11月01日
大石内蔵助が自ら意匠したといわれる木盃
同神社によれば、大石家は平将門を討伐した藤原秀郷を祖とする小山氏の流れを汲むといわれ、その一族が近江栗太郡大石庄(現在の滋賀県大津市の南部)の下司職だったことから大石姓を名乗るようになったという。戦国時代には守護・六角氏に仕えて織田信長に滅ぼされるが、「中大石」「新大石」「南大石」の3家で再興。内蔵助は新大石家の子孫だという。
同神社は、赤穂義士の吉良邸討ち入りを陰で支えた大石無人(むじん)・三平親子の弘前大石家が昭和42年に奉納したものをはじめ少なくとも500点以上に及ぶ史料を所蔵。今年が内蔵助生誕355年、史料奉納47年に当たるのを記念し、「大石内蔵助とその一族」と題して特別展を開くことにした。
内蔵助が討ち入り9カ月前の元禄15年3月に舅の豊岡藩家老、石束源五兵衛へ宛てた自筆書状には妻りくを4月15日ごろに豊岡へ出立させる旨が書かれており、忠臣蔵で名場面として描かれる「山科の別れ」がこのころだったとうかがわせる。同志の向背を確かめるために起請文の返却を指示した「連判返しの書状」、討ち入りで使用したと伝わる采配と軍扇など元禄赤穂事件に直接関わりのある史料のほか、内蔵助が描いたとされる馬の墨絵、自ら意匠したといわれる木盃なども並べる。
佐々木義弼(よしすけ、六角義治)が大石家の3人に与えた感状(部下の戦功を賞して出した文書)は同家がかつて近江国の国人であったことを示し貴重。弘前大石家に伝来した大石家の系図、同家の祖・八郎兵衛が主君の浅野長重から拝領した甲冑と具足下着、義士研究家でもあった赤穂出身の画家・長安雅山(ながやす・がざん、1875−1963)が史実に基づいて描いた義士画など多種多様な57点で、うち23点は初公開だという。
吉良邸の茶会が12月14日に行われることを羽倉斎(はくら・いつき、荷田春満)が三平に知らせた書状、四十七士の一人の大石瀬左衛門が討ち入り出陣に際して使ったとされる福寿土器なども紹介。飯尾宮司は「討ち入りを成功に導く一因となった大石一族の固い絆と結束も展示を通して感じてほしい」と話している。
同神社義士宝物殿と同別館で来年3月14日(土)まで午前8時半〜午後5時。拝観料450円(中学生以下無料)。図録(A4判42ページ)は600部発行し、一部1000円で頒布する。Tel42・2054。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2014年11月1日(2110号) 1面 (11,736,104byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
景観形成重要建造物に「坂越まち並み館」 [ 文化・歴史 ] 2023年03月01日江戸期の赤穂塩業 塩田開発や経営の側面から考察 [ 文化・歴史 ] 2023年02月28日日本遺産写真展 最優秀賞に武村晴人さん「追憶」 [ 文化・歴史 ] 2023年02月28日素直な歌声にほっこりと 5日に児童合唱団の定演 赤穂緞通の図録冊子を自費出版 [ 文化・歴史 ] 2023年02月18日山鹿素行が築かせた石垣 赤穂城二之丸門 [ 文化・歴史 ] 2023年02月18日第38回赤穂民報習字紙上展の入賞者 広重から近現代まで「華」版画展 [ 文化・歴史 ] 2023年02月17日福浦の奥道一二美さん 趣味の水彩画展 [ 文化・歴史 ] 2023年02月15日「一部浪士の脱盟は広島藩の意向か」義士会講演会 [ 文化・歴史 ] 2023年02月12日播磨各地の城下町 発掘成果の特別展 [ 文化・歴史 ] 2023年02月10日日本遺産写真展 図書館で3日から [ 文化・歴史 ] 2023年02月02日赤穂の魅力再発見講座 有年山城のフィールドワークも 故西山松之助氏 生誕110年記念で特別展 [ 文化・歴史 ] 2023年01月25日塩竈神社など日本遺産文化財に説明板 [ 文化・歴史 ] 2023年01月22日
コメントを書く