【読者の声】産廃処分場計画の状況教えて
2015年02月14日
赤穂市内で進行中の産業廃棄物最終処分場設置計画の進捗状況(平成27年2月10日現在)
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3カ所で計画
市内では現在3カ所で産廃最終処分場の設置計画があることがわかっている=表参照=。福浦の計画地は瀬戸内海に、西有年と高野の計画地は千種川水系の梨ヶ原川、中ノ谷川にそれぞれ面しており、海域や河川、水源への影響が懸念されている。県西播磨県民局は12日の時点で「今のところ、赤穂市内でこの他に把握している計画はない」(四方俊郎・環境参事)と話している。
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最終処分場の種類
産廃最終処分場は「遮断型」「管理型」「安定型」の3種類があり、それぞれ埋め立てる廃棄物や施設構造基準が法律で定められている。
遮断型は法定基準を超える有害物質を含む廃棄物を処分する。鉄筋コンクリートで周囲を囲って廃棄物と環境を完全に遮断し、屋根や水路を設けて雨水流入を防ぐ構造が義務付けられている。
管理型は、遮断型でしか処分できないもの以外の廃棄物を埋め立てることができる。廃棄物の分解や金属などの溶出に伴って発生する浸出水で地下水を汚染しないように遮水シートと排水処理施設を設置しなければならない。
安定型は有害物や有機物などが付着していない廃プラスチック類、金属くず、がれき類といった「安定5品目」のみ処分できる。浸出水やガスが発生しない前提のため、遮水工や排水処理施設などの設置義務はない。しかし、5品目以外の廃棄物が混入して有毒な硫化水素が発生し、作業員が死亡した事例もあり、日本弁護士連合会は平成19年に「安定型処分場が今後新規に許可されないよう求める意見書」を国に提出している。
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手続きは2段階
最終処分場などの産廃処理施設を設置・運営するには、都道府県知事の許可が必要だ。事業者は大きくわけて2つの法令手続きをクリアしなければならない。
まず、第一段階の「産業廃棄物処理施設の設置に係る紛争の予防と調整に関する条例」(県条例)に基づく手続きでは、事業者は事業計画書を広告・縦覧して関係住民を対象に説明会を行う。寄せられた意見書にどのように対応するか見解をまとめた説明会実施状況報告書を県へ提出し、関係住民との調整を完了しなければ次のステップへ進めない。
第二段階は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃掃法)に基づく許可申請。事業計画書は告示縦覧され、事業者は利害関係者から出された意見書への見解を県へ提出し、県は有識者の意見を参考に設置を許可する。なお、県条例と廃掃法のいずれの手続きでも許可権者の知事は関係市町の首長から意見を聴く取り決めになっている。
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各計画の進捗状況
では、赤穂市内における各計画はどの段階まで進んでいるのか。
まず、福浦の計画は平成25年10月に県条例手続きがスタート。翌11月に意見書の受付が締め切られて1年以上が経過したが、事業者はまだ報告書を提出していない。この間、計画反対署名を受けた県西播磨県民局は「技術的な検証」を目的に条例には規定のない「専門家会議」を設置し、昨年11月までに3回開催。次回について「意見書に対する見解が事業者から提出されないうちは開催しない」とのスタンスだ。事業者は赤穂民報の取材に対し、「見解書の提出へ向けて準備を進めている」と答えている。
西有年の計画は、平成22年7月に事業者が「事前協議書」を県へ提出したが、「内容が不十分」として返戻され、条例手続きは始まっていない。事業者は計画地に近い梨ヶ原自治会に「合意をいただくまで行政手続きを進めない」と約束しており、先月、協定書の素案を提示。協定を結べば、条例手続きに入るものとみられる。
高野の計画は平成22年8月に事業計画書の提出があり、県条例手続きが始まった。意見書は一通も出されず、隣地の地権者と地元水利組合も同意。県は25年6月、廃掃法に基づく設置許可申請書を受理した。昨年12月、豆田正明市長(当時)が意見書を提出したところまで進んでいる。県環境整備課は「意見書に対する事業者の見解が出た上で有識者からの意見聴取を行う予定」と話している。
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行政と議会の対応
豆田前市長は福浦の計画について、「好ましくないと考えている」(平成25年12月議会)と答弁。高野の計画については、「市内の廃棄物を適切に処理するためには必要な施設」(昨年11月、議員協議会)と表明し、県からの意見聴取には▽許可外廃棄物の混入を防ぐ監視体制などの充実▽環境アセスメントの再調査▽水質保全の管理目標値設定と維持管理計画作成、目標値を超過した場合の対策−などについて県から事業者へ指導するよう求めた。
明石元秀市長は、「管理型は反対。安定型は市民の不安が払拭されない限り反対」との姿勢。その上で、高野の計画については、「場合によっては県、事業者から話を聴く」と話し、問題解決に介入することもあり得る意思を表している。
市議会が県へ提出した意見書は、福浦の計画については「反対」とした一方、高野の計画については「市民の懸念が払拭されない限り、許可を与えないよう強く要望」との表現に留めている。
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