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塩づくりの経験を一冊に

 2008年09月13日 
「赤穂は塩のまち」を発刊した長田作一さん=西浜塩田の名残を示す石柱の横で
 入浜式から近代工業化されるまでの20年近くにわたって製塩業に関わってきた元市議会議長の長田作一さん(85)=塩屋=が赤穂の塩づくりについてまとめた書籍「赤穂は塩のまち」(B5判130ページ、500部)をこのほど自費出版した。郷土の基幹産業の移り変わりを余すことなく後世に伝える貴重な一冊だ。
 長田さんは兵役を終えて昭和21年に赤穂西浜塩業組合に勤務。赤穂海水化学工業(現日本海水)に姿を変えるまでの19年間従事した。高等小学校のころには「寄せ子」として塩田現場での重労働も経験。平成元年にそれらの体験談をまとめた冊子「浜男回想記―塩づくりの春秋」が市文化振興財団から出版されている。
 「現在も年間国内製塩量の6分の1は赤穂で生産されており、れっきとした“塩のまち”」と長田さん。「それが忘れ去られようとしていることを食い止めたかった」と2年前から少しずつ原稿を書きためたという。
 3章構成。最も紙幅を割いた第2章では赤穂における塩業の変遷を記した。度重なる経営危機を乗り越えた昭和30年代の事情は労働組合の執行委員長だった長田さんならではの詳細な記述となっている。
 「多くのピンチにさらされたからこそ、西浜塩田でイオン交換樹脂法が開発され、日本の塩業は世界に名だたる近代産業に生まれ変わった」と長田さん。「その経緯をせめて赤穂の人たちには語り継いでもらいたい」との願いを込めて出版した。
 市立図書館、文化施設に贈ったほか、「郷土学習の教材に役立てて」と市内小中学校の教師全員に行き渡る400部を市教委に寄贈。残りは「興味を持ってくれる人に無償で提供」する予定。問合せは長田さんTel42・5143。
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掲載紙面(PDF):
2008年9月13日(1812号) 1面 (8,968,464byte)
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