幻の華道流儀「源氏流」特別展
2015年11月21日
『源氏活花書院向切紙伝』千葉龍卜筆(明源寺蔵)
古文書、花器、古写真など約120点を紹介するほか、龍卜が著した伝書などを基に花形を復元して展示。その魅力に光を当てる。
同館の調査によれば、龍卜は著書に「播磨赤穂の人」と記されており、有年原の明源寺の出身と考えられる。宝暦7年(1757)に法橋に叙せられ、京・大坂を経て江戸へ。場所や花器との調和を考慮しつつ、自然のままの風姿を保つように花材を生ける龍卜の流儀は江戸で人気を呼び、門人は3000人を超えたという。
龍卜没後は江戸では途絶えたものの、赤穂と龍野で系統が引き継がれた。今展では活け方や花形を龍卜が肉筆で書いた絵入りの伝書、法橋に叙任されたときの口宣案と宣旨、画芸にも秀でた龍卜の花鳥画などを紹介。大和郡山藩主・柳澤保光に与えられた免状は、源氏流が大名家にも広まっていたことを示す。流派を赤穂で継承した大嶋宗丹(1821−1904)=雲火焼を創出した大嶋黄谷=、沼田蘭山(1860−1934)、前賀松泉(1864−1928)の免状や所用していた花器なども並べる。
源氏流華道に詳しい岩坪健・同志社大学文学部教授によると、源氏流の名称には源氏の流れを汲む足利義政を祖と仰ぐことと、源氏物語にちなんで54通りの活け方を秘伝にしたことの2つの意味が込められているといい、「源氏流が後世に残した功績は非常に大きい」と評価している。
今展の企画を担当した木曽こころ学芸員は「源氏流をテーマにした展示は過去に例がなく、ほとんどの展示品が一般初公開。“幻の流派”の存在をこの機会に知ってほしい」と話している。
来年1月18日(月)まで午前9時〜午後5時(入館は4時半まで)。花形を復元した活け花は会場入り口横に飾り、赤穂市華道連盟(萩原茂洲会長)の会員が約10日ごとに活け替える。水曜休館。入館料300円、小・中学生150円。図録は一部1100円。Tel43・4600。
<前の記事 |
関連サイト:
【関連記事】葉蘭組み合わせて12カ月表現
掲載紙面(PDF):
2015年11月21日(2162号) 1面 (10,158,961byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
創作人形で「懐かしい昭和」渡部美智子展 [ 文化・歴史 ] 2020年10月30日2020年度文化・スポーツ賞 受賞者決定 能楽の祖ゆかりの大避神社で奉納上演 [ 文化・歴史 ] 2020年10月27日日展 書の部門で赤穂から2人入選 [ 文化・歴史 ] 2020年10月27日絵葉書で回顧 明治〜戦前の赤穂 [ 文化・歴史 ] 2020年10月26日クイズと講話で地元の歴史に興味 大正初期の八幡宮祭礼 絵葉書が現存 [ 文化・歴史 ] 2020年10月24日旧東洋紡赤穂工場の写真を冊子に [ 文化・歴史 ] 2020年10月10日「日本一小さな博物館」が70周年 [ 文化・歴史 ] 2020年10月08日お菓子の家テーマ クラフト作品とデザイン画募集 「戦争と平和考えて」原爆ドーム油絵展 [ 文化・歴史 ] 2020年10月05日映像バックに雅楽でクラシック 動画公開へ [ 文化・歴史 ] 2020年10月04日御神体を特別公開 藤樹と蕃山の位牌も 「塩のまち」赤穂巡るハイキング 五感で学ぶ塩活用セミナー
コメントを書く