赤高ナイン熱戦譜(36)敗れてもヒーロー
2015年11月28日
赤高ナインを一目見ようと集まった人で埋め尽くされた赤穂駅前=赤穂高校提供
当時の駅前は、まだ店が少なく、夜になると暗かったという。ところが、駅の南側ロータリーに光が点々と見える。それらは、ナインの健闘を称えようと集まった大勢の市民が持つ提灯の明かりだった。
OB会長だった寺田吉郎は『兵庫県高校野球史』への寄稿で次のように述懐している。
「選手たちが帰った赤穂駅頭は空前絶後の歓迎の人で埋まり、私達も目頭に涙して御礼の挨拶を申し上げた」
当時は高度経済成長への転換期。前年に国内初のテレビ放送が始まり、政府が一万円紙幣の発行計画を発表した。赤穂では市制施行と国鉄赤穂線開業から3年が経ち、赤穂城大手門北隅櫓の復元工事、市内初の都市計画道路整備がスタートしたのが、この昭和29年だった。
「戦後」からの脱却へ世の中が大きく動いていた時代。まちに活気や勢いをもたらした赤高ナインは市民にとって身近な「ヒーロー」になっていたのだろう。
「勝ったんならともかく、負けたのに大勢の人が集まってくれて。驚いたというか、照れくさかった」と木村。大会後しばらくの間、街を歩けば人が振り返り、映画を見に行くとただで入れてくれたという。(文中敬称略)
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2015年11月28日(2163号) 3面 (10,314,631byte)
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[ 赤高ナイン熱戦譜 ]
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投稿:運動音痴 2015年11月28日コメントを書く