関西福祉大学リレーコラム・高校野球と「共感」
2016年08月27日
先日まで甲子園球場で熱戦が繰り広げられていました。なぜ、私たちは高校野球に魅力を覚えるのでしょうか。
高校生の成長途上の伸びやかでバネのような身体の動き。その動きとともに、場面場面で見せる恥じらいのある初々しさや恐れを知らない大胆さ。その両方が激しく入れ替わる若さあふれる表情。そんな選手たちが、本人ですら思いもよらない力を発揮して大逆転劇を見せてくれたとき、私は大きな感動を覚えます。何か別のことに気をとられたりせず、その“現場”に居合わせることができたとき、私はその選手たちと共に戦っている気持ちになっている自分に気づきます。
今回から「ケアの精神」の「共感」についてお話しします。高校野球に魅力を覚えるという私の経験をもとに、「共感」を(1)現場に居合わせる(2)共に戦っている気持ちという点から考えてみたいと思います。
まず、(1)の現場に居合わせるというのは、時間と空間を共有すると言い換えることができるでしょう。テレビの画面であっても、あれほどの大きな感動を覚えるのですから、高く飛んでいく白球と青空、切り裂くような打撃音と大きな歓声、焼けつくような暑さと汗の臭いなど、諸感覚をつかう甲子園球場という特別な空間で、共に時間を過ごしたならば、より大きな感情の動きを感じることでしょう。
次に(2)の共に戦っている気持ちですが、炎天下、多くの観衆を前に戦っているのは選手たちであって、私ではありません。しかしながら、(1)の現場に居合わせることで、まるで私自身が球場のマウンドやバッターボックスに立っている選手のすぐ傍にいる感覚をもち、緊張のあまり手に汗握る思いをするのです。
自分とは違う別の人の気持ちを想像することによって、自分も共に戦っているような気持ちになります。それが、「共感」しているということです。そして、この「共感」についても、双方向性を忘れないことが重要です。なぜなら、あくまでも想像しているに過ぎない以上、はずれる可能性についても考えておく必要があるからです。
私にとっての高校野球の魅力は、選手の姿に「共感する」ことを通して、私の中にいくばくか残っている未知の可能性を感じることができるところではないかと考えています。(市橋真奈美・発達教育学部講師)
掲載紙面(PDF):
2016年8月27日(2197号) 4面 (11,108,811byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
高校生の成長途上の伸びやかでバネのような身体の動き。その動きとともに、場面場面で見せる恥じらいのある初々しさや恐れを知らない大胆さ。その両方が激しく入れ替わる若さあふれる表情。そんな選手たちが、本人ですら思いもよらない力を発揮して大逆転劇を見せてくれたとき、私は大きな感動を覚えます。何か別のことに気をとられたりせず、その“現場”に居合わせることができたとき、私はその選手たちと共に戦っている気持ちになっている自分に気づきます。
今回から「ケアの精神」の「共感」についてお話しします。高校野球に魅力を覚えるという私の経験をもとに、「共感」を(1)現場に居合わせる(2)共に戦っている気持ちという点から考えてみたいと思います。
まず、(1)の現場に居合わせるというのは、時間と空間を共有すると言い換えることができるでしょう。テレビの画面であっても、あれほどの大きな感動を覚えるのですから、高く飛んでいく白球と青空、切り裂くような打撃音と大きな歓声、焼けつくような暑さと汗の臭いなど、諸感覚をつかう甲子園球場という特別な空間で、共に時間を過ごしたならば、より大きな感情の動きを感じることでしょう。
次に(2)の共に戦っている気持ちですが、炎天下、多くの観衆を前に戦っているのは選手たちであって、私ではありません。しかしながら、(1)の現場に居合わせることで、まるで私自身が球場のマウンドやバッターボックスに立っている選手のすぐ傍にいる感覚をもち、緊張のあまり手に汗握る思いをするのです。
自分とは違う別の人の気持ちを想像することによって、自分も共に戦っているような気持ちになります。それが、「共感」しているということです。そして、この「共感」についても、双方向性を忘れないことが重要です。なぜなら、あくまでも想像しているに過ぎない以上、はずれる可能性についても考えておく必要があるからです。
私にとっての高校野球の魅力は、選手の姿に「共感する」ことを通して、私の中にいくばくか残っている未知の可能性を感じることができるところではないかと考えています。(市橋真奈美・発達教育学部講師)
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2016年8月27日(2197号) 4面 (11,108,811byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ かしこい子育て ]
関福大リレーコラム・哲学と教育 2023年02月18日関福大リレーコラム・翼をつけたエンジェル 2023年01月28日関福大リレーコラム・心の体力(幸せの素)を養う 2022年12月17日関福大リレーコラム・めざせ! さかなクン 2022年12月03日関福大リレーコラム・心のふるさと、播州赤穂 2022年11月19日関福大リレーコラム・知・徳・体の調和のとれた子育てを 2022年11月05日関福大リレーコラム・幼児期こそ漢字 2022年10月29日関福大リレーコラム・偉人に学ぶ「生き方」 2022年09月03日関福大リレーコラム・子育ての手段に『論語』 2022年08月06日関福大リレーコラム・活動にある学習4〜水彩画編〜 2022年07月15日関福大リレーコラム・活動にある学習3〜アフォーダンス編〜 2022年07月02日関福大リレーコラム・活動にある学習2〜キャンプ編〜 2022年06月03日関福大リレーコラム・活動にある学習1 2022年05月21日関福大リレーコラム・STEAMからみる理科教育(4)〜エネルギー編 2022年04月29日関福大リレーコラム・STEAMからみる理科教育(3)〜地球編 2022年04月02日
コメントを書く