真心の一服 生徒に安らぎ
2017年03月11日
生徒にとって安らぎのひとときとなっている「心の教室」
生徒らにとって授業の合間に安らぎと潤いを得るひととき。心穏やかな学校生活を送る一助になっている。
活動が始まったのは平成17年。同校で生け花ボランティア活動をしていた西有年の橋本晴美さん(72)と山本隆子さん(73)が当時の圓尾和也校長から「生徒に華道や茶道を教えてもらえないでしょうか」と相談を受けた。「教えることはできませんが、お茶の接待なら」(橋本さん)と引き受け、「お茶を通して、相手を思いやる気持ちを育んでほしい」との思いを込めて「心の教室」と名付けた。
長期休暇やテスト期間を除く毎週水曜日の午前中に休み時間ごとに開かれ、参加は生徒の自由だ。会議室の長机に半月盆を並べて15席を用意。一席ずつに一輪挿しで季節の花を飾り、生徒を迎える。次の授業に間に合うように点前を提供するのは大変だが、2年前から有年横尾の潮海明子さんが加わって3人になり、スムーズになった。
休み時間が近づくと、茶碗にお湯を注いで器を温める。抹茶は無農薬栽培された茶葉をひいたものしか使わない。一輪挿しの花は自宅の庭でその日の朝に枝を摘む。ようかん、醤油饅頭など週替わりの茶菓子は手作りすることも。橋本さんたちは「十分な点前はできませんが」と言うが、おもてなしの心がこもった一服だ。橋本さんは「入ってきたときよりも表情が明るくなって教室に戻っていくのを見ると、うれしくなります」と話す。
本紙が取材に訪れた8日は卒業する3年生にとって最後の「心の教室」だった。生徒たちは手作りの桜餅で抹茶を味わい、「3年間ありがとうございました」と全員で一礼。感謝のしるしとして手書きの感謝状を添えて卒業文集を贈った。「入学したばかりのときは幼かったのに、みんな大きくなって」と山本さん。「卒業しても頑張ってね」と声を掛けた。
「心の教室」を楽しみにしていたという前川栞里さん(15)は「気持ちがつかれたときでも、お茶を飲むとリセットできた。感謝しています」。柏原蓮君(15)は「やさしくしてもらった分、自分も人にやさしくできるようになりたい」と話した。
「生徒の心をほぐし、耕し、潤いを与えていただいており、本当にありがたい」と色波校長。3人は「私たちも若いみなさんから元気をもらっています」といい、今後もボランティアを続ける。
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2017年3月11日(2223号) 1面 (16,599,915byte)
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