「もう一つの忠臣蔵」歴博で特別展
2017年11月18日
文久事件、高野の仇討の関連資料も並ぶ特別展
肖像画や遺墨、書状など約150点を展示。多くの初公開資料を通して、「もう一つの忠臣蔵」と呼ばれた事件のあらましと当時の赤穂の情勢を振り返る内容となっている。
文久事件は、赤穂藩の財政が窮乏して下級藩士の間で不満が高まり、藩主の世継ぎ問題に端を発した権力闘争もくすぶる中、文久2年(1862)に起こった。用人として藩政中枢を担っていた村上天谷(1798−1862)が尊皇攘夷派の下級藩士に襲われ、家老の森主税とともに暗殺。天谷の次男、河原翠城(1827−62)も事件を受けて自刃した。それから9年後の明治4年(1871)、今度は天谷の遺子らが親の仇討ちとして関係者7人を高野山麓で殺害(高野の仇討)。政府が復讐禁止の太政官布告を発布するきっかけとなり、「もう一つの忠臣蔵」と呼ばれた。
特別展では文久事件の際に急進派が暗殺の目的を書いた「斬奸状」の写し、翠城が自刃の直前に「雪冤在天」と書いた絶筆、「高野の仇討」の現場図や仇討ちを終えた7人の寄せ書きなど貴重な資料が目を引く。事件を伝える瓦版や戦闘の様子を描いた絵馬は当時の民衆の間でも大きな話題になったことがうかがえる。
また、天谷が藩校・博文館の改革案をまとめた起草文、翠城が赤穂塩の大坂での専売制度の確立を目指して上申した15か条の案文、天谷の父で寺社町郡奉行などを歴任した中所(1757−1844)が中心となって藩主家の家史を編さんした『森家先代実録』の写本全34巻(新見市指定文化財)などもあり、3代にわたって藩の要職を務めた村上家の儒者・文人としての側面も示す。
一連の出来事は、多くの人命が失われたこともあり、事件について語ることをタブーとする雰囲気があったが、昨年3月に村上氏の末裔が保存していた資料が赤穂市へ寄贈されたのを機に同館が特別展を企画した。担当した木曽こころ学芸員は「幕末の赤穂で起きた一大事件について知る機会になれば」と話している。
来年1月16日(火)まで2階特別展示室で午前9時〜午後5時(入館は4時半まで)。水曜と年末年始休館(1月1日〜3日は臨時開館)。高校生以上300円、小・中学生150円。
また、出品資料の写真や解説などをまとめた図録(A4判88ページ)を一部1100円で販売している。Tel43・4600。
<前の記事 |
[ 文化・歴史 ]
頭人行列に獅子舞 3年ぶり「神幸式」 [ 文化・歴史 ] 2022年10月17日国重要無形民俗文化財「坂越の船祭」3年ぶり開催 [ 文化・歴史 ] 2022年10月10日市民文化祭の生花展「高齢化で最後」 [ 文化・歴史 ] 2022年10月08日「川柳赤穂吟社」10周年記念で誌上大会 投句募集 [ 文化・歴史 ] 2022年10月08日田辺眞人氏の歴史発見講座 50人募集 風景写真西播磨 会員10人作品展 [ 文化・歴史 ] 2022年10月03日ル・ポン開幕前会見 樫本さん「人生に残るコンサートに」 [ 文化・歴史 ] 2022年09月30日ル・ポン国際音楽祭 2日開幕 赤穂公演の残席わずか 「声楽の甲子園」初の2年連続県代表 [ 文化・歴史 ] 2022年09月26日「ひょうご五国」巡回展 赤高生が音声ガイド [ 文化・歴史 ] 2022年09月17日「赤穂緞通の魅力伝えたい」織り手志望の女性が絵本 [ 文化・歴史 ] 2022年09月09日絵手紙始めて3年 95歳初の作品展 [ 文化・歴史 ] 2022年09月05日逸話でひもとく史実の元禄赤穂事件 [ 文化・歴史 ] 2022年09月04日義士外伝の新作歌舞伎『荒川十太夫』10月に歌舞伎座 十州塩田の作業唄一堂 赤穂からも出演 [ 文化・歴史 ] 2022年09月02日
コメント
0 0
投稿:なるほど 2017年11月20日0 0
投稿:初老のオッサン 2017年11月19日コメントを書く