関福大リレーコラム・人生を生き抜くために必要な学力は、テストの成績だけではない
2017年12月16日
人生を生き抜き、成功に導くために必要な力は、どのような力でしょうか。正解は一つではありません。ただ、試験でよい点をとる学力だけではない、ということは間違いのないところです。
「自制心」が重要という見解もあります。がまんする力、コントロールする力です。確かにその通りだと思いますが、これを養うのは、容易ではありません。怒りやイライラから人間関係を壊さないようにするアンガー・マネジメントの本がたくさん並んでいます。私も、感情をコントロールするにはどうすればよいかといった本を何冊も購入していますが、未だに効き目はありません。一度深呼吸をして感情を飲み込んでから行動に移せばいいとありましたが、その教えもすぐ忘れてしまいます。
「やり抜く力」が重要という見解もあります。めざしたゴールに向かって粘り強く努力し続ける力です。勉強でも、運動、その他のことでも、最後までがんばったからできたといった経験は、自分に対する自信になり、困難な状況に打ち勝つエネルギーになります。そのためには背伸びも必要ですし、成果がすぐに上がらなくても逃げないといったコーピングという力も必要です。加えて背中を押し支えてくれる人がいれば、それに越したことはありません。以前に執筆したマネージメントの力も求められます。はじめから大きな目標ではなく小さな目標を立て、やり抜くことから始めるやり方も有効です。ちりも積もれば山となる、継続こそが大切だからです。
今年の元旦に「躾」について執筆しましたが、小さながまんや、粘り強くがんばる力を身につけた子は、大きくなって成功する確率が高いという研究もあります。味わいながらゆっくり食事をする、机の上はいつも整理整頓しておく、夜更かしをしない等々、小さいときからの躾によって自然化された動作や習慣が、大きくなってから役に立つことは多いものです。
教育界では、「コミュニケーション力」や「コラボレーション力」が強調されています。コミュニケーションは言葉のキャッチボールです。言葉を通してこころを通い合わせる対話の力です。相手からのボールをキャッチせずに、自分のボールだけを一方的に投げるのでは、受け容れる力や共感する力は育ちません。コラボレーション力とは、意見や価値観の違いを乗り越え、力を合わせてやり遂げる力です。日本人が古来大切にしてきた和(和らぎ)の力でもあります。教室での意見交流や総合的な学習は知的なコラボレーションであり、共に高まり、成長し合う手応えを得る機会なのです。
このような力はすべてテストでは測定できない力(非認知的な力)ですが、子どもたちがこれからの人生を生き抜くために必要で有効な力であり、それを付けるためには目標に掲げ、学校と家庭が強力な応援団となってのコラボレーションが必要です。(加藤明学長)
掲載紙面(PDF):
2017年12月16日(2258号) 4面 (12,063,155byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
「自制心」が重要という見解もあります。がまんする力、コントロールする力です。確かにその通りだと思いますが、これを養うのは、容易ではありません。怒りやイライラから人間関係を壊さないようにするアンガー・マネジメントの本がたくさん並んでいます。私も、感情をコントロールするにはどうすればよいかといった本を何冊も購入していますが、未だに効き目はありません。一度深呼吸をして感情を飲み込んでから行動に移せばいいとありましたが、その教えもすぐ忘れてしまいます。
「やり抜く力」が重要という見解もあります。めざしたゴールに向かって粘り強く努力し続ける力です。勉強でも、運動、その他のことでも、最後までがんばったからできたといった経験は、自分に対する自信になり、困難な状況に打ち勝つエネルギーになります。そのためには背伸びも必要ですし、成果がすぐに上がらなくても逃げないといったコーピングという力も必要です。加えて背中を押し支えてくれる人がいれば、それに越したことはありません。以前に執筆したマネージメントの力も求められます。はじめから大きな目標ではなく小さな目標を立て、やり抜くことから始めるやり方も有効です。ちりも積もれば山となる、継続こそが大切だからです。
今年の元旦に「躾」について執筆しましたが、小さながまんや、粘り強くがんばる力を身につけた子は、大きくなって成功する確率が高いという研究もあります。味わいながらゆっくり食事をする、机の上はいつも整理整頓しておく、夜更かしをしない等々、小さいときからの躾によって自然化された動作や習慣が、大きくなってから役に立つことは多いものです。
教育界では、「コミュニケーション力」や「コラボレーション力」が強調されています。コミュニケーションは言葉のキャッチボールです。言葉を通してこころを通い合わせる対話の力です。相手からのボールをキャッチせずに、自分のボールだけを一方的に投げるのでは、受け容れる力や共感する力は育ちません。コラボレーション力とは、意見や価値観の違いを乗り越え、力を合わせてやり遂げる力です。日本人が古来大切にしてきた和(和らぎ)の力でもあります。教室での意見交流や総合的な学習は知的なコラボレーションであり、共に高まり、成長し合う手応えを得る機会なのです。
このような力はすべてテストでは測定できない力(非認知的な力)ですが、子どもたちがこれからの人生を生き抜くために必要で有効な力であり、それを付けるためには目標に掲げ、学校と家庭が強力な応援団となってのコラボレーションが必要です。(加藤明学長)
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