赤穂初の前方後円墳 3日に現地説明会
2018年02月28日
赤穂市内で初めて前方後円墳と確認された放亀山1号墳の発掘調査現場
市教委は「赤穂市と周辺地域の古代史を考える上で非常に重要な成果」とし、3月3日(土)に一般向けの現地説明会を行う。
調査は今年1月中旬から行われ、墳墓の最も盛り上がっている部分や端など6カ所計75平方メートルを発掘した。その結果、前方部と後円部が接合する「くびれ部」を確認。大きさは全長38メートルとわかった。古墳表面の「葺石」の積み方から築造年代は古墳時代前期前半(4世紀前半)と推定。後円部に箱形の木棺(幅約1メートル、長さ約4メートル)が埋葬されていたとみられるという。
盗掘された形跡はなく、葺石が良好な保存状態で残っているほか、後円部の頂上ではU字状に並んだ石材や祭祀に使用したとみられる壺や高坏といった土器の破片が複数出土した。古墳時代前期の墳墓で、こうした遺物が残っているケースは珍しく、「葺石の積み方や構造を解き明かす上で重要な資料となる。土器片もまとまって出土しており、年代特定の基準となりうる」(市教委)という。
前方後円墳は古墳時代の墳墓の中で最も格式の高い形状とされ、市教委によると全国でおよそ4700基、兵庫県内では130基ほど確認されているが、赤穂市内ではこれまで見つかっていなかった。放亀山1号墳も従来は「円墳」と考えられていたが、市教委が平成26年度に行った調査で「前方後円墳である可能性が高い」と判明。前方後円墳の可能性を最初に指摘した山中良平学芸員(30)は「謎に包まれていた赤穂市周辺の古墳時代前期のようすが明らかになる可能性がある」と学術的な意義を語る。
発掘調査は3月下旬まで続く予定で、終了後は保存のため埋め戻す。地表に露出した土器片は採取し、形状などを詳しく調べる。土器の産地がわかれば、交流のあった地域の解明にもつながる。
有年地区には、前方後円墳の基となった形状の有年原・田中1号墳丘墓、県内最大級の方形周溝墓がある有年牟礼・山田遺跡など弥生後期から古墳中期にかけての有力な墳墓が集中している。市教委は「弥生時代から古墳時代の墳墓の変遷を考える上で重要な遺跡となることは間違いない」としている。
説明会は3日午後1時半から(申込不要、参加無料)。有年公民館で1時間程度説明した後、現地見学を行う。現地は公民館から山道を約20分登ったところにあり、市教委は「急な坂道やすべりやすい場所もあるので、歩きやすい靴でお越しください」と呼び掛けている。市教委文化財係Tel43・6962。
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※2017年12月16日の記事「東有年に前方後円墳 赤穂で初」で「放亀山」の読み方を「ほうきさん」としていましたが、文化財としての登録名称となっている「ほうきやま」とします。
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【関連記事】東有年に前方後円墳 赤穂で初
掲載紙面(PDF):
2018年3月3日(2269号) 1面 (11,480,199byte)
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コメント
ということは、「前方後円墳の基となった形状の有年原・田中1号墳丘墓」は、厳密には前方後円墳にはカウントされないんですか?
とにかく、学芸員さん、ごくろうさまです。
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投稿:古代進 2018年02月28日コメントを書く