美咲のきょうも笑顔!(3)日本へ一時帰国中です
2020年04月25日
ウランバートル市内でATMに並ぶ市民。足元の表示に従って間隔を空けている
この度、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、JICAから指示があり、3月中旬より日本へ一時帰国しています。帰国後は、現地の同僚とオンラインで繋ぎ、診療のアドバイスを行っています。また、現地で行う予定である作業療法に関するセミナーのモンゴル語資料を作成するなど、再赴任に向けた準備もしています。
今回は、モンゴルの新型コロナウイルス感染症対策についてお話したいと思います。
4月20日のモンゴル国保健省の発表によると、国内の累計症例数は34名、内8名が回復して日常生活へ戻っています。いずれも、他国から帰国したモンゴル人等「国外からの輸入症例」であり、施設に隔離され治療を受けているので、4月20日時点において、モンゴル国内での市中感染が発生しているものではないとのことです。
モンゴルでは、1月下旬より街や病院内で新型コロナウイルス感染症に対する注意喚起の張り紙が貼られるようになり、政府決定により1月27日から国内の全教育機関が休校、多人数が集まる芸術・文化・スポーツイベント及び会議等の開催が禁止されました。さらに、ゲームセンターや幼児用遊戯施設、映画館などの娯楽施設、フィットネスクラブやプールなどの運動施設、ゲストハウスやツーリストキャンプなどの宿泊施設の利用禁止、飲食店の営業時間短縮といった措置が取られました。
そして、4月14日の国家非常事態特別委員会において、休校措置は8月31日まで延期、イベント等の開催や娯楽施設の利用やバーやクラブといった深夜飲食店の営業停止、レストランやコンビニ等の営業時間短縮が、4月30日まで延期されることが決定しています。
また、さらなる感染拡大を予防するため、モンゴル政府は4月13日から5月31日まで「マスク着用キャンペーン」を全国展開し、警察官やボランティアが街頭指導等を実施しています。マスクを着用していない者への販売やサービスの提供をしない、マスクを着用していなければ公共交通機関の利用をすることができない等の対応が行われています。私がモンゴルに滞在していた時にも街ではマスクを着用している人が多く、スーパーの入り口にはマスクの着用を確認する店員がおり、マスクを着用していない者は入店させないといった場面を見かけたりしました。
活動していた配属先の国立病院では、出入り口を減らし人の往来を減らすといった工夫や、出入り口や各診療科に看護師を常駐させ、往来する人の検疫対応を行っていました。また、職員には、新型コロナウイルス感染症予防対策の研修が行われ、マスク不足に対しては、自分たちで作った洗い替えの可能なマスクを着用する工夫をしていました。
私の所属するリハビリテーション科では、アルコール消毒液の設置数が増加し、常時マスクとクリーンキャップ、手袋を着用していました。リハビリテーションを受けに来る患者に対しては、氏名、年齢、出身地、体温、家族の健康状態、連絡先を職員が聞き取り、記録するなどの対応を行いながら、現在も患者診療を続けています。
新型コロナウイルス感染予防対策として、モンゴルならではと感じたのは、週に2回免疫力アップを目的に「アールツ」という飲み物が職員へ配布されることです。生乳を発酵させヨーグルトにしたあと、それをさらに発酵させ馬乳酒というものを作ります。さらにその馬乳酒を蒸留した際にできる「搾りかす」に小麦粉とバター、砂糖を入れたものがアールツです。
見た目は酒粕のようで、味はとても酸っぱいヨーグルトと甘酒を合わせたような味わいで、ビタミンたっぷりのホットドリンクです。モンゴル人は昔から風邪予防にもこれを飲み、厳しい冬を乗り越えてきました。
モンゴルへ赴任した直後は、慣れない味に戸惑いがありましたが、今ではすっかりモンゴルの味に慣れ、大好きな飲み物のひとつになりました。日本では飲めない味なので、とても恋しく感じています。再びモンゴルへ赴任し、モンゴル人やこの味と再会できることを心から願っています。
* * *
▽奥田美咲さん=赤穂市城西町出身。作業療法士としての経験を活かし、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員としてモンゴルの首都ウランバートルの国立病院で作業療法士の育成に関わっている。任期は2020年秋までで現在一時帰国中。
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