【寄稿】福祉活動に込められた殿下の“想い”(下)
2012年06月30日
柏朋会の会合での寛仁親王殿下=平成20年ごろ、宮邸で
さらに、「社会福祉というのは、大上段に振りかぶって考えてはならない」とされた。「一人ひとりの身近な日常生活の中で、簡単な手話や点字を学び、車椅子や松葉杖や白杖へのヘルプの方法を覚え、特別視することなくごく普通にお付き合いすること」を基本とし、「思い遣り」の気持ちだけを持って、「共に生きる」ことを考えることが大切だと強調された。
このような福祉の在り方を、「身の丈にあった」とも、また、「さりげない」とも表現された。特に、「さりげない」という言葉をこよなく愛され、「愛・地球博」においては、『さりげなく、もてなす心』が、国内外のあらゆる人々を迎え入れるにあたってのキーワードともなった。
第一回目の食道ガンの大手術、その後も、繰り返された手術によって、ついには、声までも失われたが、懸命にボイストレーニングを積まれ、バイブレーター(人工音声器)を利用しながら、会の活動を継続された。
常に、福祉の現場監督として行動することを信条とされていたことから、話すこと・行動することの両面での大きな制約を口惜しくお思いであったことは、想像に難くない。
しかし、症状の詳細な説明はされても、それが如何に大変な忍耐と努力を必要とされるかについては、多くを語ることもなく、毅然として、福祉活動に取り組まれるお姿は、今も脳裏に焼き付いている。
余りにも大きな存在を失い、今は、『ラストサムライ』のあのシーンのように、深く、深く、ひざまずき、ただただ、涙するのみである。
<前の記事 |
関連サイト:
【関連記事】福祉活動に込められた殿下の“想い”(上)
掲載紙面(PDF):
2012年6月30日(1996号) 3面 (10,233,638byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ 社会 ]
半世紀以上続く千種川水生生物調査 [ 社会 ] 2024年09月06日《市民病院医療事故多発》科長に偽証を強要か「職員としての服務規定」 病院は否定【加筆あり】 《市民病院医療事故多発》「科長に急かされた」被告医師が主張 自身の技量不足認めるメッセージも【加筆修正あり】 《市民病院医療事故多発》「外部検証が必要」指摘スルー [ 社会 ] 2024年08月31日台風10号接近 赤穂線で30日夕方以降計画運休【修正あり】 新たな感染症に備え官民合同で訓練 [ 社会 ] 2024年08月24日積算ミスで工事契約解除 市が損害賠償へ 関西福祉大学生らが能登で復興支援ボランティア 創立80周年で記念碑建立 相生産高 [ 社会 ] 2024年08月09日勤務中に同僚に暴力 60代男性看護師を減給の懲戒処分 【修正あり】 青年海外協力隊でモザンビークへ 尾崎小教諭の安則栄美さん [ 社会 ] 2024年08月03日市民病院の経営目標達成困難か 止まらない患者減 [ 社会 ] 2024年07月27日甘い話は、よく確かめて! 「お金を振り込まサンド」 [ 社会 ] 2024年07月26日「害虫を正しく怖がって」アース製薬研究員が講演 [ 社会 ] 2024年07月26日《市民病院医療事故多発》執刀医と科長を業務上過失傷害容疑で書類送検 2件目
コメントを書く