関福大・加藤明先生の「応援します!かしこい子育て・教育・介護」【第8回】
2015年05月02日
【どうして勉強しなければいけないの】
子どもに、こう聞かれたことはありませんか。聞かないまでも、このような疑問をもっている子どもは、少なくありません。私も疑問でしたが、聞きませんでした。いや、「当たり前でしょう」って叱られそうで、聞けませんでした。
どうして勉強しなければいけないのか。面と向かってこう聞かれたら、どう答えますか。
「大きくなったら困るから」
こう答えていませんか。実は、これが正解なのです。勉強していないと大人になったら困るのです。江戸時代の町民は、寺子屋で「読み・書き・算」、それに簡単な修身(道徳)を学んでいました。武士は藩校で、それに加えて論語を始めとする四書五経などを学び、武芸にも励んでいました。町民は、読み・書き・算ができないと暮らしていけないからであり、武士も教養がないと一人前と認められないからです。
それでは現代の子どもたちには、どのような勉強が必要でしょうか。読み・書き・算の基礎的、基本的な知識・技能(分かる、覚える・できる)だけでなく、それらを支えるものの見方や考え方、思考力、判断力、表現力も必要でしょう。
さらに、グローバル化社会を生き抜いていくためには自国や自分の地域の文化、歴史の理解と誇り、他国や異文化に対する共感と尊敬、それにコミュニケーション力やコラボレーション力(協働力)もつけてやらねばなりません。それらを根底から支える基盤は、人類が築いてきた文化を教養として身に付け、それらを享受し、つまり、楽しみながら自分らしく生きていく力です。
学校教育からみれば、子どもたちは社会に出る前に学校で学ばなければならないことがあり、教えなければならないことがあるのです。それは計算や漢字だけではありません。平和や誠実、公共心、公徳心等々の精神的な価値だってそうです。さらに、例えば選挙についてもです。なぜ20歳になったら選挙権があるのか。いつ頃から20歳の男女すべてが選挙できるようになったのか。そして、この1票によって、どのように世の中が変わるのか。
これまでの人々が発展させてきた文化、文化財のバトンを受け取り、一歩でも進めて次にバトンタッチをする。文化の伝達、習得にとどまらず、創造までの力をつけてやらねばならないのです。(関西福祉大学・学長)
掲載紙面(PDF):
2015年5月2日(2134号) 3面 (10,742,716byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
子どもに、こう聞かれたことはありませんか。聞かないまでも、このような疑問をもっている子どもは、少なくありません。私も疑問でしたが、聞きませんでした。いや、「当たり前でしょう」って叱られそうで、聞けませんでした。
どうして勉強しなければいけないのか。面と向かってこう聞かれたら、どう答えますか。
「大きくなったら困るから」
こう答えていませんか。実は、これが正解なのです。勉強していないと大人になったら困るのです。江戸時代の町民は、寺子屋で「読み・書き・算」、それに簡単な修身(道徳)を学んでいました。武士は藩校で、それに加えて論語を始めとする四書五経などを学び、武芸にも励んでいました。町民は、読み・書き・算ができないと暮らしていけないからであり、武士も教養がないと一人前と認められないからです。
それでは現代の子どもたちには、どのような勉強が必要でしょうか。読み・書き・算の基礎的、基本的な知識・技能(分かる、覚える・できる)だけでなく、それらを支えるものの見方や考え方、思考力、判断力、表現力も必要でしょう。
さらに、グローバル化社会を生き抜いていくためには自国や自分の地域の文化、歴史の理解と誇り、他国や異文化に対する共感と尊敬、それにコミュニケーション力やコラボレーション力(協働力)もつけてやらねばなりません。それらを根底から支える基盤は、人類が築いてきた文化を教養として身に付け、それらを享受し、つまり、楽しみながら自分らしく生きていく力です。
学校教育からみれば、子どもたちは社会に出る前に学校で学ばなければならないことがあり、教えなければならないことがあるのです。それは計算や漢字だけではありません。平和や誠実、公共心、公徳心等々の精神的な価値だってそうです。さらに、例えば選挙についてもです。なぜ20歳になったら選挙権があるのか。いつ頃から20歳の男女すべてが選挙できるようになったのか。そして、この1票によって、どのように世の中が変わるのか。
これまでの人々が発展させてきた文化、文化財のバトンを受け取り、一歩でも進めて次にバトンタッチをする。文化の伝達、習得にとどまらず、創造までの力をつけてやらねばならないのです。(関西福祉大学・学長)
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2015年5月2日(2134号) 3面 (10,742,716byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ かしこい子育て ]
関西福祉大学リレーコラム・第1回―公共を問い直す 2017年01月28日関西福祉大学リレーコラム・「いただきます」から始めよう 2017年01月01日関西福祉大学リレーコラム・今年のうちにやっておくこと 2016年12月22日関西福祉大学リレーコラム・学びについて考える(4)子どもが育つ言葉かけ 2016年11月19日関西福祉大学リレーコラム・学びについて考える(3)子どもが育つ環境 2016年11月12日関西福祉大学リレーコラム・学びについて考える(2)考える力 2016年10月29日関西福祉大学リレーコラム・学びについて考える(1)勉強から学習へ 2016年10月08日関西福祉大学リレーコラム・「心の専門家」は、子どものまわりにいる大人がいちばん! 2016年10月01日関西福祉大学リレーコラム・世界に対する基本的な信頼感 2016年09月10日関西福祉大学リレーコラム・高校野球と「共感」 2016年08月27日関西福祉大学リレーコラム・子どもが大人を「受容」するということ 2016年08月13日関西福祉大学リレーコラム・受容と双方向性 2016年07月30日関西福祉大学リレーコラム・「ケア」の精神 2016年07月09日関西福祉大学リレーコラム・やさしいことばは、やさしい心になる魔法の近道 2016年07月02日関西福祉大学リレーコラム・健康を守る(5) 2016年06月25日
コメント
私たちは現代の日本人です。
0 0
投稿:民報寺子屋 2015年05月03日コメントを書く