「忠臣蔵の本質死守した」紀里谷監督インタビュー
2015年11月16日
作品や忠臣蔵への思いを語った紀里谷和明氏
* * *
−なぜハリウッドでの製作を選んだのか
「これだけのキャスト、予算スケールの作品を作るのは日本では不可能。それに、どうしても世界の人々に作品を見ていただきたいという思いもあった。そのためにはハリウッドの配給システムに乗せる必要があり、他に選択肢はなかった」
−作品の見どころは?
「日本の武士道の本質をどのように世界に伝えているか、というところを見てほしい」
−世界各国から集まったキャストに、どのように「武士道」を伝えたか?
「役者陣には『武士道』の説明を一切していない。ヨーロッパなら騎士道、アメリカなら愛国心といったように、それぞれの役者が自分の国にあてはめて考えてくれた。その精神は共通するものがあると僕は思ってる」
−作品づくりで最もこだわったところは?
「国も時代も、あえて架空の舞台を設定したが、忠臣蔵の本質は死守したつもりだ。それと、観客の意識と視線が物語と役者の芝居に集中するように、できるだけ見せ方をそぎ落とした」
−本作は映画監督としての自身のキャリアで、どういう位置付けになるか
「第二の処女作」
−監督にとって「忠臣蔵」とは
「特に忠臣蔵マニアということではないが、一般の方と同じように、子どものころから映画やドラマで目にし、そのストーリーが自然と体に入ってきている。ただ、私の祖父が太平洋戦争で大本営の玉砕命令を無視して部下を全員日本に連れ帰り、自分だけ切腹しており、その精神は染みついているのかも知れない」
−公開までに泉岳寺、花岳寺など義士ゆかりの地を訪れた
「作品の構想からこの5年間、私は『大石内蔵助』という人物のことのみをずっと考え続けてきたと言っても過言ではない。その大石さんをはじめ四十七士のみなさんへ報告したかった。吉良上野介さんのお墓にも参らせていただいた」
−「赤穂浪士の討ち入りはテロだ」との見方をどう思うか
「すべての行動には理由がある。その理由は何なのかを問わずに表面的な現象だけを見ると、そうなるかも知れない。そこにある精神は何だったのかを考えるべきだ」
−「忠臣蔵」を廃れさせないために何が必要か
「それぞれの時代や国で世の不条理に対して立ち向かう英雄が現れる。マハトマ・ガンジーであり、キング牧師であり。赤穂義士もその一つだ。人は正しいことに筋を通す美しさにひかれる。形ではなく精神を踏襲していけば、廃れるはずがない。だからこそ、この作品も国境を越えて受け入れられると信じている」
* * *
◎作品紹介=腐敗した権力がはびこる架空の封建国家を舞台に、高潔がゆえに落命した主の仇を討つ騎士たちを落ち着きのある映像美で描く。クライブ・オーウェン、モーガン・フリーマンといった名優をキャスティングした話題作で世界30カ国で公開。プラット赤穂シネマでも好評上映中。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2015年11月21日(2162号) 4面 (10,158,961byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ 文化・歴史 ]
「塩とジオ」謎解き 観光振興に活用へ [ 文化・歴史 ] 2022年03月26日「街角」テーマに写真展 メイプル写友会 [ 文化・歴史 ] 2022年03月22日ハーモニーアンサンブル教室 27日に発表会 内蔵助や家族の私信60通 交友知る貴重資料 [ 文化・歴史 ] 2022年03月20日絵画を楽しむ会 第12回ロビー展 [ 文化・歴史 ] 2022年03月20日中央義士会の新役員 花岳寺と大石神社参拝 [ 文化・歴史 ] 2022年03月17日少女描いた油彩画 北野中の冨田ひろ美さん初個展 [ 文化・歴史 ] 2022年03月17日二之丸北城壁の発掘進む 13日に説明会 [ 文化・歴史 ] 2022年03月11日フォトクラブ赤穂「わが町」テーマに作品展 [ 文化・歴史 ] 2022年03月09日元赤穂LC会長 綿田幹治さん遺作展 [ 文化・歴史 ] 2022年03月07日市史史料集『柴原家文書』最終巻を刊行 [ 文化・歴史 ] 2022年03月06日5日にオンラインで秦氏フォーラム 赤穂からも参加 浅野長矩偲ぶ特別御朱印 命日の3月14日まで限定 [ 文化・歴史 ] 2022年03月01日赤穂緞通を伝承する会 4年ぶり受講生募集 「里山」「清流」一行詩を募集
コメント
0 0
投稿:赤穂市民のひとり 2015年11月23日紀里谷殿 有難うでござる。
内蔵助
0 0
投稿:いいこと言いますねぇ〜 2015年11月23日彼ら、赤穂城の侍たちが守るべきものが何であったのかを。
屈辱の無血開城、武士の誇りよりもまず赤穂の町と人々の平穏な暮らしを立て、困難きわまる江戸での挙兵。
時代の都合に葬られた彼らの郷土愛。
赤穂の人までもがこの事実に目をそむけるならば、浮世の空にかかる雲はいつまでも晴れることはありません。
0 0
投稿:地底浪人 阿蛮 2015年11月23日0 0
投稿:片岡源五右衛門 2015年11月22日コメントを書く