赤穂雲火焼、神戸のホテルで食器に
2016年03月25日
赤穂雲火焼を食器に採用した木下学シェフ(右)と作者の桃井香子さん=ホテル提供
明治期に途絶え、“幻の陶器”と呼ばれた雲火焼を復元した御崎の陶芸家、桃井香子(よしこ)さん(73)は「多くの人の目に触れ、実用してもらえる機会が増えることはうれしいです」と喜んでいる。
赤穂雲火焼を食器に採用したのは、神戸市中央区波止場町の「ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド」。今月から4月末まで開催中の「五国の味めぐり 播磨フェア」で「播磨のすぐれた食材を盛り付けるのにふさわしい」とホテル側から要望があり、桃井さんが長皿、葉皿、箸置きなど10セットを提供した。
雲火焼は江戸後期から明治初期にかけて加里屋の鋳物師、大嶋黄谷(1821−1904)が創出。釉薬を使わず焼成した文様は燃えるような夕焼け空を連想させる。明治10年(1877)の第1回内国勧業博覧会で褒賞を授かるなど価値を認められたが、技法を継承された弟子はなく、黄谷一代で途絶えた。
桃井さんは文献に記された数少ない手掛かりを基に約40年前から雲火焼の再興に挑戦。塩屋の長棟州彦さん(68)と協力して試行錯誤を重ね、平成6年に兵庫県伝統工芸品の指定を受けた。
雲火焼は従来、茶器や花器として扱われることが主だったが、きめの細かな土を形成し、椿の葉で丹念に磨き上げてから焼き締めた作品は丈夫で耐水性もあり、食器としても十分活用できるという。
「独特の色合いと風合いにインパクトを感じた」と採用を発案した同ホテルの木下学・鉄板焼料理長(40)は「器の個性が強いだけに、そこに何を盛り付けるかという料理人としての意欲をかき立てられるし、新たな料理のひらめきが生まれそう。フェア終了後も使ってみたい」との意向。桃井さんは「今まで作り手も意識していなかった新たな可能性を広げていただいた。今後も要望に応じて作品を提供していきたい」と話している。
フェアの予約、問い合わせはTel078・371・1111。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2016年3月26日(2179号) 1面 (10,784,422byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
「塩とジオ」謎解き 観光振興に活用へ [ 文化・歴史 ] 2022年03月26日「街角」テーマに写真展 メイプル写友会 [ 文化・歴史 ] 2022年03月22日ハーモニーアンサンブル教室 27日に発表会 内蔵助や家族の私信60通 交友知る貴重資料 [ 文化・歴史 ] 2022年03月20日絵画を楽しむ会 第12回ロビー展 [ 文化・歴史 ] 2022年03月20日中央義士会の新役員 花岳寺と大石神社参拝 [ 文化・歴史 ] 2022年03月17日少女描いた油彩画 北野中の冨田ひろ美さん初個展 [ 文化・歴史 ] 2022年03月17日二之丸北城壁の発掘進む 13日に説明会 [ 文化・歴史 ] 2022年03月11日フォトクラブ赤穂「わが町」テーマに作品展 [ 文化・歴史 ] 2022年03月09日元赤穂LC会長 綿田幹治さん遺作展 [ 文化・歴史 ] 2022年03月07日市史史料集『柴原家文書』最終巻を刊行 [ 文化・歴史 ] 2022年03月06日5日にオンラインで秦氏フォーラム 赤穂からも参加 浅野長矩偲ぶ特別御朱印 命日の3月14日まで限定 [ 文化・歴史 ] 2022年03月01日赤穂緞通を伝承する会 4年ぶり受講生募集 「里山」「清流」一行詩を募集
コメントを書く