関西福祉大学リレーコラム・受容と双方向性
2016年07月30日
今回はケアの精神の第2回として「受容」を紹介します。
受容というのは、相手の言葉や気持ちを否定せずにそのまま受け入れることを言います。「ありのまま受け入れる」「まるごと受け止める」と表現することもできるのでしょうが、実際に行うのはなかなか難しいことです。相手の言葉や行動を自分の考えや価値観で評価して、「○○した方がいいと思うよ」などとアドバイスしてしまった経験のある方も多いのではないでしょうか。
カウンセリングの技法として「受容」することの重要性を強調したのは、カール・ロジャーズというアメリカの心理学者です。ロジャーズは、カウンセラーが来談者(クライエント)の言葉や気持ちを否定せずにそのまま受け入れることで、来談者の自己成長を促すことができると考えました。
私が教員のための研修施設でカウンセリングの講座を担当していたとき、何人かの先生方から、「児童生徒のよくない言葉や行動を指導するのが教師の仕事だと思います。受容することはできません…」と言われたことがあります。
そんなとき先生方に、「よくない言葉や行動そのものを受容しようとするのではなく、そういう言葉を口にしたり行動したりする児童生徒の気持ちや感情について想像力を働かせてみてください。受容するというのは、不安などの感情を受けとめ児童生徒が安心感をもつことができるようにすることです。そのために学校の教師には何ができるのかを考えてみてください」とお伝えしていました。
受容されることによって安心感を持てるようになると、人は他者に心を開き見通しを持てるようになります。
そして想像力を働かせることについてですが、気持ちや感情についての想像が必ずしも的中するとは限りません。大切なことは想像力を働かせる際に双方向性を意識することです。具体的には、「私はあなたの気持ちは○○○と思うのだけれど…、どうでしょうか?もし違っていたら教えてくれる?」というようなやりとりを繰り返すことで、決めつけない、ゆだねる姿勢を示します。
ケアの精神に基づいたコミュニケーションの基盤にあるのは双方向性(インタラクティブ)です。(市橋真奈美・発達教育学部講師)
掲載紙面(PDF):
2016年7月30日(2194号) 4面 (10,054,129byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
受容というのは、相手の言葉や気持ちを否定せずにそのまま受け入れることを言います。「ありのまま受け入れる」「まるごと受け止める」と表現することもできるのでしょうが、実際に行うのはなかなか難しいことです。相手の言葉や行動を自分の考えや価値観で評価して、「○○した方がいいと思うよ」などとアドバイスしてしまった経験のある方も多いのではないでしょうか。
カウンセリングの技法として「受容」することの重要性を強調したのは、カール・ロジャーズというアメリカの心理学者です。ロジャーズは、カウンセラーが来談者(クライエント)の言葉や気持ちを否定せずにそのまま受け入れることで、来談者の自己成長を促すことができると考えました。
私が教員のための研修施設でカウンセリングの講座を担当していたとき、何人かの先生方から、「児童生徒のよくない言葉や行動を指導するのが教師の仕事だと思います。受容することはできません…」と言われたことがあります。
そんなとき先生方に、「よくない言葉や行動そのものを受容しようとするのではなく、そういう言葉を口にしたり行動したりする児童生徒の気持ちや感情について想像力を働かせてみてください。受容するというのは、不安などの感情を受けとめ児童生徒が安心感をもつことができるようにすることです。そのために学校の教師には何ができるのかを考えてみてください」とお伝えしていました。
受容されることによって安心感を持てるようになると、人は他者に心を開き見通しを持てるようになります。
そして想像力を働かせることについてですが、気持ちや感情についての想像が必ずしも的中するとは限りません。大切なことは想像力を働かせる際に双方向性を意識することです。具体的には、「私はあなたの気持ちは○○○と思うのだけれど…、どうでしょうか?もし違っていたら教えてくれる?」というようなやりとりを繰り返すことで、決めつけない、ゆだねる姿勢を示します。
ケアの精神に基づいたコミュニケーションの基盤にあるのは双方向性(インタラクティブ)です。(市橋真奈美・発達教育学部講師)
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2016年7月30日(2194号) 4面 (10,054,129byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ かしこい子育て ]
関西福祉大学リレーコラム・第1回―公共を問い直す 2017年01月28日関西福祉大学リレーコラム・「いただきます」から始めよう 2017年01月01日関西福祉大学リレーコラム・今年のうちにやっておくこと 2016年12月22日関西福祉大学リレーコラム・学びについて考える(4)子どもが育つ言葉かけ 2016年11月19日関西福祉大学リレーコラム・学びについて考える(3)子どもが育つ環境 2016年11月12日関西福祉大学リレーコラム・学びについて考える(2)考える力 2016年10月29日関西福祉大学リレーコラム・学びについて考える(1)勉強から学習へ 2016年10月08日関西福祉大学リレーコラム・「心の専門家」は、子どものまわりにいる大人がいちばん! 2016年10月01日関西福祉大学リレーコラム・世界に対する基本的な信頼感 2016年09月10日関西福祉大学リレーコラム・高校野球と「共感」 2016年08月27日関西福祉大学リレーコラム・子どもが大人を「受容」するということ 2016年08月13日関西福祉大学リレーコラム・「ケア」の精神 2016年07月09日関西福祉大学リレーコラム・やさしいことばは、やさしい心になる魔法の近道 2016年07月02日関西福祉大学リレーコラム・健康を守る(5) 2016年06月25日関西福祉大学リレーコラム・健康を守る(3) 2016年05月14日
コメントを書く