《市民病院医療事故多発》あまりに多い問題点(下)
2022年01月15日
連続医療事故問題に揺れる赤穂市民病院
前号に続き、これまでの取材から浮かび上がる病院の隠蔽体質や疑惑を追及する。
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議会にも報告せず
一連の医療事故は報道で明るみになるまで議会にもまったく報告されていなかったことがわかっている。
この点について牟礼市長は昨年12月9日の定例会で土遠孝昌議員の一般質問に「医療安全対策実施要項には議会への報告について基準がない」と釈明。公表基準の見直しを含めた実施要項の改訂を約束した。
しかしながら、議会への報告を禁じたルールがあるわけではなく、「基準がない」ことを理由に報告しなかったとの言い訳はいかがなものだろう。この理屈を認めてしまうと、どんなに重大な案件でも、「基準がないことは議会に報告しなくてもよい」という悪しき前例になる恐れがある。
地方公営企業法は、住民の福祉を確保するため必要があれば、公営企業の管理者に必要な指示ができると定めている。赤穂市民病院は専任の管理者を置いていないため、市長がその権限を行使する立場にある。しかし、牟礼氏は同月22日の会見で、「医療事故について今からでも謝罪会見を開くように病院に指示しないのか」との赤穂民報の質問に、「それについては回答を差し控える。謝罪会見をしろとか、するなとか、僕はそういう権限はないと思っている」と述べた。
現時点で言えるのは、赤穂市と赤穂市民病院は、同一医師が約8か月間に8件の医療事故を立て続けに起こしたという異例の事態であっても、謝罪会見はおろか議会への報告もマスコミ公表も必要ない、との認識を持っていて、牟礼市長は自身の権限を把握していないということだ。
病院は「係争中」を口実に説明責任からの逃避を続けているが、個人情報を侵害しない範囲で説明できることはあるはずだ。今のままでは、赤穂市民病院に対する市民の不信はさらに深まり、信頼の失墜はとどまることがないだろう。
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警察へ届出も不明
実施要項は「医療過誤によって死亡または傷害が発生した場合またはその疑いがある場合、院長は、速やかに所轄警察署に届出の指示を行う」と定め、届け出る前に患者、家族に説明するよう取り決めている。
しかし、病院が医療過誤を認めた事故の被害者家族は、「警察に届け出ます、警察へ届け出た、などの説明は一切なかった」と証言する。
警察への届け出は行ったのか、行っていないのか。行ったとするならば、なぜ、患者と家族に説明しなかったのか。病院はこれについても「係争中のため答えられない」と明らかにしていない。
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転職先で「救急科医長」
男性医師は赤穂市民病院を退職した翌日の2021年9月1日付けで大阪市内の医療機関に採用。同医療機関のホームページに「救急医療センター医長」として紹介されていた。
新任地の医療機関は、男性医師の技能や経験を赤穂市民病院に照会したのだろうか。照会があったとすれば、ありのままを申し送りしたのだろうか。
赤穂民報が医療過誤問題を報じた9月18日から数日後には同医療機関のホームページから男性医師の氏名や写真が削除されたが、今月8日の時点でも同じ医療機関の救急科で医長として勤務している。
医療事故の被害患者家族は「(男性医師が)今でも挿管したり、縫合したりしているのかと考えただけで心臓がドキドキする」と話している。
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赤穂民報では一連の医療事故問題の真相究明のため、関係者からの情報提供を募集します。情報源の秘密は厳守します。赤穂民報社Tel43・1886、ファクス46・2626、メール e-mail@ako-minpo.jp
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関連サイト:
《市民病院医療過誤》あまりに多い問題点(上)(2021年12月31日)
掲載紙面(PDF):
2022年1月15日号(2446号) 3面 (10,010,703byte)
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