「角立てない」伝統の書体 播磨提灯
2022年08月06日
秋の祭りシーズンへ向け、赤穂市内で唯一の提灯店「山口商店」=加里屋=に御神燈の注文が増えている。3代目の山口勝也さん(62)が一つ一つ手書きで文字や神社の紋章を書き入れて完成させる。
山口さんの話では、約100年前に初代繁太郎さんが姫路の妻鹿から赤穂に移住し、「めがや」の屋号で提灯や傘の製造販売を開業。多いときは3〜4人の職人を雇って注文をさばいていたという。会社勤めをしながら父義明さんの跡を継いだが、会社の仕事が忙しく30代前半で一旦廃業。定年を機に2年前に再開した。
赤穂市内で祭りの時期に掲げられる御神燈は「播磨提灯」と呼ばれ、文字の書体に丸みがあるのが特徴。「神様に角を立てない」との意味が込められているという。かつては相生、龍野にも作り手がいたが、ほとんどが廃業。山口さんは「祖父と父が守ってきたものなので、何とか残したいという気持ちだけでやっています」と話す。
文字や神紋の型紙を提灯の内側に当て、電球の光で透かして輪郭を書く。すり鉢で練った竹炭を細い筆で慎重に輪郭の内側に塗っていく。山口さんは手元を大きく見るために眼鏡を二重にかけて作業する。家紋は少しでも線からはみ出すと台無しになるため特に神経をつかう。型紙は繁太郎さんが残した手習帳を元にしている。
最近は旅館や飲食店のインテリア照明や赤ん坊の手型足型を貼り付けた出産記念提灯など、少しずつ新たな注文や問い合わせも増えてきた。提灯製作の技術を活かした和傘も好評だという。
「着物と一緒で、大切に扱えば20年、30年使ってもらえる」と山口さん。久しぶりに使用するときはドライヤーで温風を当ててから広げると文字や紋が傷みにくく、片付けるときは新しいビニール袋に防虫剤を入れて、天袋などなるべく高いところに収納するとよいという。
御神燈は「尺六」(高さ68センチ、直径39センチ)2万2000円、「尺四」(高さ56センチ、直径34センチ)1万9800円など。家紋を入れる場合はプラス2000円〜。9月中に注文すれば今秋の祭りまでに納品できるという(家紋入りは8月中)。TEL090・9216・3540。
掲載紙面(PDF):
2022年8月6日号(2472号) 1面 (11,565,029byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
祭りシーズンへ向け御神燈提灯を製作する山口勝也さん
山口さんの話では、約100年前に初代繁太郎さんが姫路の妻鹿から赤穂に移住し、「めがや」の屋号で提灯や傘の製造販売を開業。多いときは3〜4人の職人を雇って注文をさばいていたという。会社勤めをしながら父義明さんの跡を継いだが、会社の仕事が忙しく30代前半で一旦廃業。定年を機に2年前に再開した。
赤穂市内で祭りの時期に掲げられる御神燈は「播磨提灯」と呼ばれ、文字の書体に丸みがあるのが特徴。「神様に角を立てない」との意味が込められているという。かつては相生、龍野にも作り手がいたが、ほとんどが廃業。山口さんは「祖父と父が守ってきたものなので、何とか残したいという気持ちだけでやっています」と話す。
文字や神紋の型紙を提灯の内側に当て、電球の光で透かして輪郭を書く。すり鉢で練った竹炭を細い筆で慎重に輪郭の内側に塗っていく。山口さんは手元を大きく見るために眼鏡を二重にかけて作業する。家紋は少しでも線からはみ出すと台無しになるため特に神経をつかう。型紙は繁太郎さんが残した手習帳を元にしている。
最近は旅館や飲食店のインテリア照明や赤ん坊の手型足型を貼り付けた出産記念提灯など、少しずつ新たな注文や問い合わせも増えてきた。提灯製作の技術を活かした和傘も好評だという。
「着物と一緒で、大切に扱えば20年、30年使ってもらえる」と山口さん。久しぶりに使用するときはドライヤーで温風を当ててから広げると文字や紋が傷みにくく、片付けるときは新しいビニール袋に防虫剤を入れて、天袋などなるべく高いところに収納するとよいという。
御神燈は「尺六」(高さ68センチ、直径39センチ)2万2000円、「尺四」(高さ56センチ、直径34センチ)1万9800円など。家紋を入れる場合はプラス2000円〜。9月中に注文すれば今秋の祭りまでに納品できるという(家紋入りは8月中)。TEL090・9216・3540。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2022年8月6日号(2472号) 1面 (11,565,029byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
ル・ポン開幕前会見 樫本さん「人生に残るコンサートに」 [ 文化・歴史 ] 2022年09月30日ル・ポン国際音楽祭 2日開幕 赤穂公演の残席わずか 義士祭の出店 30区画を募集 「声楽の甲子園」初の2年連続県代表 [ 文化・歴史 ] 2022年09月26日「ひょうご五国」巡回展 赤高生が音声ガイド [ 文化・歴史 ] 2022年09月17日ウエスト神姫 10月1日付けで関連企業と合併 [ 商業・経済 ] 2022年09月13日「赤穂緞通の魅力伝えたい」織り手志望の女性が絵本 [ 文化・歴史 ] 2022年09月09日仕入高騰 引き続き見通し厳しく [ 商業・経済 ] 2022年09月07日絵手紙始めて3年 95歳初の作品展 [ 文化・歴史 ] 2022年09月05日「障害者雇用支援月間」拡大版ロビー販売会 逸話でひもとく史実の元禄赤穂事件 [ 文化・歴史 ] 2022年09月04日義士外伝の新作歌舞伎『荒川十太夫』10月に歌舞伎座 十州塩田の作業唄一堂 赤穂からも出演 [ 文化・歴史 ] 2022年09月02日市史編さん課長が語る元禄赤穂事件の逸話 JR赤穂線全線開業60周年の記念入場券 [ 商業・経済 ] 2022年08月30日
コメントを書く