地球をてくてく二人旅
2010年11月30日
出発前に福本貴司さん(左)と握手する児玉文暁さんと近藤あゆみさん
徳島県阿南市の児玉文暁さん(44)と札幌市の近藤あゆみさん(39)。手押しの三輪カートに食料、着替えなどを積み、自炊とテント泊の旅を続けている。
児玉さんは「徒歩で世界を旅する」という学生時代からの夢を叶えるため、15年前に脱サラした。ポルトガルからスイスまで歩いた欧州を皮切りに南米、オーストラリアなど10年間で10カ国計1万1600キロを踏破。「日本をのんびり楽しみたい」と平成17年8月、北海道・知床を出発した。
2人が出会ったのはその10カ月後。児玉さんが札幌で開いた旅のスライド上映会で知り合い、交際がスタートした。旅先での思い出話を聴くうちに、近藤さんもいつしか気持ちが高まり、17年間勤めた会社を2年前に退職。パートナーとして、ともに歩き始めた。
一日に歩く距離は長くても20キロ。春から秋にかけて旅を楽しみ、冬期アルバイトで資金を稼ぐ。ルートも日程も定めない気ままな自由旅。祭りがあると聞けば寄り道し、興味を持った山があれば登山する。地図に記録した旅の軌跡は日本海と太平洋を行ったり来たり。
出会った人の家に泊めてもらうこともしばしば。赤穂に立ち寄ることになったのも、テレビで2人のことを知った北野中の鍼灸師、福本貴司さん(39)から「赤穂にもおいで。うちに泊まってもええよ」とブログを通じてメールをもらったのがきっかけだった。26日の午後6時半ごろ到着し、1カ月ぶりに温かい布団で就寝。上郡町にある福本さんの実家にも招かれ、手料理をごちそうになった。
「まるで自分の家にいるようにくつろがせてもらえた。身も心もリフレッシュでき、とても楽しい3日間でした」と児玉さん。福本さんは「こちらこそ元気をもらった。これからも旅を楽しんで」と出発を見送った。
今後は九州、沖縄を経て台湾へ渡り、最後に児玉さんの実家を目指して四国を横断する予定。「2人で海外を歩く」という次の夢もある。
「歩いているだけで次から次へと楽しいことに出合える。歩けなくなるまで歩き続けたい」と児玉さん。近藤さんも「自分の足で進む旅は生きている実感がある」とうなずく。2人の前に伸びる旅路はどこまでも広がっている。
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掲載紙面(PDF):
2010年12月4日(1922号) 4面 (13,085,954byte)
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投稿:うらやましい 2010年12月01日コメントを書く