「くぼっち文庫」の絵本、100カ国に
2012年06月30日
集めた絵本の国の数が100カ国になった「くぼっち文庫」と開設者の久保良道さん
平成15年7月のオープンから今年で10年目。開館時に約800冊だった蔵書数は3000冊に達した。開設者の元中学校長、久保良道さん(74)は「世界には、まだまだ読み切れないぐらいの絵本があるはず。利用者のためにも、さらに書架を充実させたい」と新たな一冊との出会いを楽しみにしている。
久保さんは教員時代、子どもたちの感性を豊かにする絵本の力を目の当たりにし、同じく教員だった妻の眸さんと私設文庫を開くことを退職後の夢としてふくらませた。
しかし、眸さんは定年前にガンを発症し、数百冊の絵本を残して逝去。久保さんは深い悲しみに打ちひしがれたが、「このままではいけない」と気持ちを奮い立たせ、妻の死から約9カ月後に50カ国ほどの絵本を揃えて文庫を開設した。
8坪弱の自宅車庫を改修し、本棚を設置。毎月第2・第4土曜日を開館日と決めた。「気の向いたときに読みたい絵本を読んでほしい」との思いから、貸し出す冊数も期間にも制限はなし。地元の子どもたちはもちろん、幼稚園で読み聞かせをしている母親グループ、上郡町や相生市など市外からも利用者が訪れる。
オープン翌年の9月には台風による床上浸水で絶版本を含む444冊を失ったが、東京のブックフェアや京都の古本市などに通って出来るだけ買い戻した。開館以来、絵本を買わなかった月は一度もなく、珍しい絵本があれば書店や出版社からも連絡が入る。そして今月、カリブ海の島国、トリニダード・トバゴに伝わる民話を基にした作品が届き、ついに100カ国目となった。
外務省によれば、世界の国の数は195。「くぼっち文庫」には半数以上の国の絵本が集まったことになる。しかし、物資的に貧しい開発途上国や政情が不安定な中東など、まだ絵本を手に入れることができていない国も多く存在する。
「その国の文化や歴史だけでなく、国民性や価値観にも触れることができる」と絵本の魅力を語る久保さん。「将来、国際社会で対等に語り合える人材になるためにも、特に子どもたちに手に取ってほしい。一人でも、一冊でも多く、その橋渡しができれば」と願っている。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2012年6月30日(1996号) 1面 (10,233,638byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
赤穂市美術展 7部門で作品募集 市民合唱団の定期演奏会 11日にハーモニーH 第41回赤穂民報習字紙上展の入賞者 生活の中にある美術 89歳男性がアートギャラリー 5年ぶりに合同合唱も「フェスタ・アルモニカ」 [ 文化・歴史 ] 2024年07月28日世界最大級のレプリカも「三葉虫化石展」 [ 文化・歴史 ] 2024年07月28日愛着ある故郷描く 米寿の水彩画展 [ 文化・歴史 ] 2024年07月20日土器に見る「炊飯の歴史」 有年考古館で企画展 [ 文化・歴史 ] 2024年07月20日刷毛の跡までリアルに 埴輪ミニチュア [ 文化・歴史 ] 2024年07月12日赤穂ゆかりの作家中心に40点「未公開収蔵品展」 [ 文化・歴史 ] 2024年07月01日秋祭りの御神米 子どもたちが「お田植え」 コンセル・ヌーボ第40回定期演奏会 16日にハーモニーH 元赤穂書道会長の故新家一夫さん回顧展 [ 文化・歴史 ] 2024年06月03日会員の力作40点 赤穂美術協会展 31日から [ 文化・歴史 ] 2024年05月27日「水のある風景」テーマに写真展 [ 文化・歴史 ] 2024年05月26日
コメントを書く