内蔵助ゆかりのハゼでろうそく
2014年11月22日
大石内蔵助ゆかりのハゼの木の実からろうそく、盆栽、工芸絵画を作った沼田義明さん
ハゼの木は拝殿に向かって右側の境内にあり、高さ約5メートル。古木だが夏には青々とした葉を茂らせ、秋には紅葉が美しい。幹のそばに建つ石碑に刻まれた文によると、延宝元年(1673)に父祖が内蔵助の元服を祝って芸州から取り寄せたハゼ苗数十本のうちの一本で、最初に植えられた尾崎川(現千種川)堤防の改築に伴って大正11年に有志が神社境内へ移植したという。
60歳で定年退職するまで電機メーカーでランプ作りに携わり、現在は播州赤穂観光ガイド協会に所属する沼田さん。今年2月、同神社で観光客にハゼの木の由緒を説明していた際、その実がろうそくの原料になることをふと思い出した。中村良廣宮司の了解を取り、地面に落ちたハゼの実約2・3キロを拾い集めた。
ハゼの実は大きさ1センチ足らずの楕円形。沼田さんは一つ一つ根気よく皮をむき、ろう質を取り出して大鍋で煮沸。自分で設計図を書いて作った圧搾機で絞ると、ベージュ色のろうがトロリと流れ出し、約200グラムを抽出できた。節切りしたクロチクを型に棒ろうそく(長さ10センチ前後、直径約1・5センチ)5本、ペットボトルのキャップを容器とした卓上ろうそく6個などを完成させた。残った種も捨てずに取っておき、内蔵助の句をイメージした工芸絵画を制作。一部は鉢で発芽させて盆栽に仕立てた。
赤穂義士とハゼにちなんだ逸話としては、討ち入り後に義士17人を預かった細川藩が内蔵助の勧めでハゼの栽培を始めて藩財政の一助としたとの伝承や、大石主税はじめ10人が預けられた松山藩に播州赤穂の住人がハゼの木を送って感謝の気持ちを表したという話が伝えられている。
「八幡さんのハゼの木は、内蔵助が直接関わった貴重な史跡で、歴史ロマンを感じる。実は毎年なるので、これからも活用方法を考えるつもり」と沼田さん。中村宮司は「とてもありがたい試み。神社としても大切に木を守っていきたい」と話し、奉納された品を義士祭の12月14日(日)まで社務所で展示する。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2014年11月22日(2112号) 1面 (12,122,450byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
幻の「藤緞通」復元 糸作りから自ら 丹後・上世屋で技術学ぶ [ 文化・歴史 ] 2023年10月21日「2023赤穂市美術展」が開幕 絵画、書など268点 [ 文化・歴史 ] 2023年10月19日2023年度文化・スポーツ賞 受賞者決定=赤穂市 頭人行列に獅子舞 尾崎・赤穂八幡宮「神幸式」 [ 文化・歴史 ] 2023年10月15日獅子舞存続 児童らが議論「未来に残すべき」 平田オリザ氏講演 先着300人募集 地域連携フォーラム 「坂越の船祭」男衆ら活気 4年ぶり獅子舞も [ 文化・歴史 ] 2023年10月08日子どもの笑顔でほっこり 福浦の山脇五都子さん水彩画展 [ 文化・歴史 ] 2023年10月08日「工房マップ作って」伝統工芸作家ら42人が要望 [ 文化・歴史 ] 2023年10月07日ル・ポン国際音楽祭30日開幕 音楽監督の樫本大進さん「新たな風が吹く」 第52回義士祭奉賛学童書道展 募集要項発表 秦氏ゆかり史跡探訪バスツアー 参加募集 川柳赤穂吟社11周年大会 課題を発表 女性たちの絵画展「女・女・女展」22日から [ 文化・歴史 ] 2023年09月17日西国街道・有年峠「地域の歴史名所へ」住民ら整備
コメントを書く