関福大・加藤明先生の「応援します!かしこい子育て・教育・介護」【第16回】
2015年09月05日
【茶髪はどうしていけないの】
「学校運営協議会」(コミュニティスクール)という組織があります。教職員と保護者と地域の人たちが協力して子どもたちを育てていこうというもので、私は京都市でこれにかかわっています。
西陣地区のある小学校では、学期に一回、夜の7時から9時まで会議が開かれます。子どもたちと保護者、教職員に対するアンケートの結果をもとに活動の成果を確かめ、これからの取り組み方を相談するのです。
ちゃんと朝食を食べているか、夜更かしをしていないか、ゲームに熱中し過ぎていないか等の生活習慣を始めとして、授業は楽しいか、先生は分かりやすく教えてくれるか、宿題は忘れないでやっているか等の学習についての質問もあります。基本的な生活習慣や学習習慣を確立させて学校生活を楽しく過ごさせたいというねがいのもとに、通学の安全も含めて地域総がかりでの子育てです。
「あいさつはできているか」の項目では、子どもたちからは「よくできている」の答えが多かったのですが、教職員、保護者からは「できていない」の結果でした。このようなずれの発見は、その後の効果的な指導につながります。
議論の途中で、地域の方から次のような発言がありました。朝の見守り隊のとき「あいさつはするがいつもぎりぎりに登校する背の高い茶髪の子がいるのだけれど、学校は茶髪を認めているのか」。「学校は茶髪を認めていません」の回答、それではその子にどう指導すればいいのか、その後はこれについての議論が活性化しました。読者のみなさんはどう思われますか。
まず茶髪が子どもの意思なのか、保護者の意思なのかを確かめなければなりません。いずれにせよ、「茶髪禁止は学校のきまりだから」では、不十分で納得できないでしょう。なぜ「学校のきまり」なのか、これを考え、理解することから始めるべきです。
「学校のきまり」は子ども達を束縛するためのものではありません。子ども達が健全に成長し、学校生活を楽しく過ごすというねがいのもとに決められているものです。茶髪がいけないのは、育ち盛りの子ども達の髪の成長にとってよくないから、髪本来の成長する力を押さえてしまうからです。
以前に喫煙をしている女子大生に「喫煙は百害あって一利なしだから。自分の健康は自分しか守る人がいないんだよ」と話したら、きっぱりやめてくれました。頭ごなしの禁止より、納得して自ら守っていこうとする子ども達を育てることが何よりも大切なことです。(関西福祉大学・学長)
掲載紙面(PDF):
2015年9月5日(2151号) 3面 (16,903,212byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
「学校運営協議会」(コミュニティスクール)という組織があります。教職員と保護者と地域の人たちが協力して子どもたちを育てていこうというもので、私は京都市でこれにかかわっています。
西陣地区のある小学校では、学期に一回、夜の7時から9時まで会議が開かれます。子どもたちと保護者、教職員に対するアンケートの結果をもとに活動の成果を確かめ、これからの取り組み方を相談するのです。
ちゃんと朝食を食べているか、夜更かしをしていないか、ゲームに熱中し過ぎていないか等の生活習慣を始めとして、授業は楽しいか、先生は分かりやすく教えてくれるか、宿題は忘れないでやっているか等の学習についての質問もあります。基本的な生活習慣や学習習慣を確立させて学校生活を楽しく過ごさせたいというねがいのもとに、通学の安全も含めて地域総がかりでの子育てです。
「あいさつはできているか」の項目では、子どもたちからは「よくできている」の答えが多かったのですが、教職員、保護者からは「できていない」の結果でした。このようなずれの発見は、その後の効果的な指導につながります。
議論の途中で、地域の方から次のような発言がありました。朝の見守り隊のとき「あいさつはするがいつもぎりぎりに登校する背の高い茶髪の子がいるのだけれど、学校は茶髪を認めているのか」。「学校は茶髪を認めていません」の回答、それではその子にどう指導すればいいのか、その後はこれについての議論が活性化しました。読者のみなさんはどう思われますか。
まず茶髪が子どもの意思なのか、保護者の意思なのかを確かめなければなりません。いずれにせよ、「茶髪禁止は学校のきまりだから」では、不十分で納得できないでしょう。なぜ「学校のきまり」なのか、これを考え、理解することから始めるべきです。
「学校のきまり」は子ども達を束縛するためのものではありません。子ども達が健全に成長し、学校生活を楽しく過ごすというねがいのもとに決められているものです。茶髪がいけないのは、育ち盛りの子ども達の髪の成長にとってよくないから、髪本来の成長する力を押さえてしまうからです。
以前に喫煙をしている女子大生に「喫煙は百害あって一利なしだから。自分の健康は自分しか守る人がいないんだよ」と話したら、きっぱりやめてくれました。頭ごなしの禁止より、納得して自ら守っていこうとする子ども達を育てることが何よりも大切なことです。(関西福祉大学・学長)
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2015年9月5日(2151号) 3面 (16,903,212byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ かしこい子育て ]
関西福祉大学リレーコラム・第1回―公共を問い直す 2017年01月28日関西福祉大学リレーコラム・「いただきます」から始めよう 2017年01月01日関西福祉大学リレーコラム・今年のうちにやっておくこと 2016年12月22日関西福祉大学リレーコラム・学びについて考える(4)子どもが育つ言葉かけ 2016年11月19日関西福祉大学リレーコラム・学びについて考える(3)子どもが育つ環境 2016年11月12日関西福祉大学リレーコラム・学びについて考える(2)考える力 2016年10月29日関西福祉大学リレーコラム・学びについて考える(1)勉強から学習へ 2016年10月08日関西福祉大学リレーコラム・「心の専門家」は、子どものまわりにいる大人がいちばん! 2016年10月01日関西福祉大学リレーコラム・世界に対する基本的な信頼感 2016年09月10日関西福祉大学リレーコラム・高校野球と「共感」 2016年08月27日関西福祉大学リレーコラム・子どもが大人を「受容」するということ 2016年08月13日関西福祉大学リレーコラム・受容と双方向性 2016年07月30日関西福祉大学リレーコラム・「ケア」の精神 2016年07月09日関西福祉大学リレーコラム・やさしいことばは、やさしい心になる魔法の近道 2016年07月02日関西福祉大学リレーコラム・健康を守る(5) 2016年06月25日
コメントを書く