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雲火焼創出の大嶋黄谷 生誕200年展

 2021年10月30日 
右から長棟州彦さん、桃井香子さん、大島靖彦さん、靖月さん、桃井ミュージアム支配人の長棟光亮さん
 江戸末期に雲火焼を創出した陶工、大嶋黄谷(おおしま・こうこく)の生誕200年記念展が御崎の桃井ミュージアム(桃井香子オーナー)で開かれている。

 黄谷をはじめ師弟関係にあった陶芸家たちの作品、子孫宅に伝え残った陶土で作った現代作家らの作品を展示。黄谷が師範免状を持っていた源氏流の活花も会場を彩り、多才な文化人の軌跡を回顧している。

 黄谷(本名・九郎次)は1821年(文政4)に赤穂に生まれた。鋳物師の父栄左右衛門から兄秀輔とともに鋳物の技術を習得したが、27歳のころ、赤穂に逗留した今戸焼の陶工、作根弁次郎に陶技を学び、陶工に転じた。1852年(嘉永5)に雲火焼の焼成に成功。白色の陶肌に炎と煙が乗り移ったような文様が特長で、1877年(明治10)の第1回内国勧業博覧会で花紋褒賞を受賞した。1904年(明治37)に死去した。

 雲火焼の陶法は前賀蓼城ら2人の弟子にも伝えられず、黄谷の没後は製法が不明の状態が続いた。1979年(昭和54)以降、桃井さんと塩屋の長棟州彦さん(74)が共同で復元を探求。桃井さんの自宅に設けた赤穂瀬戸内窯で試行錯誤を繰り返した末、白地に橙と黒が織りなす夕焼け空のような窯変を再現し、1993年度に「赤穂雲火焼」の名称で「兵庫県伝統工芸品」に指定された。桃井さんは2011年、雲火焼の次世代への継承などを目的に赤穂瀬戸内窯の敷地にミュージアムを創設した。

 記念展では、黄谷の手焙や花器などをはじめ作根弁次郎、前賀蓼城の作品も紹介。大嶋家に伝承された陶土を使って桃井さんらが黄谷作品を復元した杓立、香炉、灰器なども出品している。源氏流活花は葉蘭6枚の組み合わせで一年を12瓶で表現する「源氏流十二月花」を会期中6回に分けて展示。黄谷の玄孫にあたる靖彦さん(77)=加里屋=の妻で書家の靖月さん(71)が黄谷を題材に書した折帖や掛軸なども並び、その生涯や人物像を偲ぶ。

 長棟さんによると、大嶋家に伝わった陶土は窯変が美しい反面、焼成時に傷が入りやすかったという。桃井さんは「展示を通して雲火焼の独自性、黄谷の技術の高さを感じてもらえれば」と話している。

 赤穂市制施行70周年記念協賛事業として来年3月14日(月)まで午前9時〜午後4時。火曜(祝日は翌日)と12月28日〜1月5日は休館。鑑賞料は18歳以上300円、高齢者・障碍者200円。会期中は雲火焼の体験陶芸(要予約)を随時催すほか、11月13日(土)と来年1月15日(土)は雲火焼の茶器を使った茶会(予約不要)を開く。Tel56・9933。

 また、御崎の赤穂市立美術工芸館・田淵記念館でも「大嶋黄谷生誕200年記念展」を11月10日(水)〜来年1月10日(月・祝)に開催。文書や陶印など約130点を展示する。
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掲載紙面(PDF):
2021年10月30日号(2436号) 1面 (6,555,227byte)
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