近畿最西端の方形周溝墓が出土
2012年03月16日
県内最大級の方形周溝墓が出土した有年牟礼・山田遺跡
JR有年駅の北東約800メートルにある同遺跡は、ほ場整備に伴う分布調査で昭和60年に発見。一部を発掘したところ、弥生中期の竪穴建物跡や古墳から鎌倉にかけての遺構のほか、63年には土師器片を埋蔵した「L」字型の溝(幅約2・5メートル)が出土した。
その後、一帯は農地として利用されていたが、市教委は先月中旬から未調査区画の約1000平方メートルで発掘に着手。「L」字の遺構に連なる溝が現れ、全体像から長方形の方形周溝墓であることがわかった。
長辺19・5メートル、短辺15・4メートルの大きさは県内で最大クラス。さらに、溝の一辺を共有する別の方形周溝墓(長辺約12・2メートル、短辺11・1メートル)も見つかった。2基とも下層から弥生後期末〜古墳初頭の土器片が複数出た。
周溝墓は平地に四角形や円形に溝を掘り、内側の土盛に被葬者を埋葬したもの。方形は近畿を初源に播磨へ広まった一方、円形は四国や岡山から播磨、近畿へと伝わったとされる。今回見つかった方形周溝墓の西約1・1キロにある「有年原・田中遺跡」では東瀬戸内の墓制を示す円形周溝墓が発掘されている。
また、63年の調査で発掘されたチョコレート色の土器片を接合・復元したつぼを分析したところ、近隣地域で出土した前例のない、生駒西麓(大阪府)と讃岐(香川県)の祭祀土器と判明した。
弥生期の考古学に詳しい大久保徹也・徳島文理大教授(51)は「瀬戸内一帯における地域間交流の要だったのでは。弥生後期から古墳時代への移り変わりを考察する上で極めて貴重な遺跡だ」と評価。兵庫県立考古博物館の石野博信館長(78)は「当時の政治や文化の伝播過程を知るかぎとなる遺物が今後発掘される可能性もある」と期待を話している。
現地説明会は午後1時半から。小雨決行。市教委は公共交通機関での来場を呼び掛けている。また、復元土器3点を3月22日(木)から4月9日(月)まで有年考古館(TEL49・3488)に展示する。
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掲載紙面(PDF):
2012年3月17日(1983号) 1面 (11,353,734byte)
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投稿:ヘケケ 2012年03月16日コメントを書く