任期満了に伴い、無所属の新人３氏が争った赤穂市長選は１８日に投開票があり、元赤穂市副市長の明石元秀氏（６４）が元兵庫県職員の牟礼正稔氏（６０）、元会社経営の矢野英樹氏（４４）との激戦を制し、初当選した。投票率は６１・００％で平成１９年の前回市長選を９・８７ポイント上回った。＝記事の下にＰＤＦ版号外あり＝
　３期務めた現職・豆田正明市長（７０）が今期限りの退任を表明し、８年ぶりの選挙戦。人口減対策を軸にした施策を主な争点とし、立候補者の経歴や実績なども有権者の関心を集めた。
　明石氏は市総務課長、市教委教育次長、安全管理監などを経て副市長を務めた４１年余りに及ぶ行政経験を前面に押し出し、「政策面では他候補に負けない。バランスのとれた市政をスピード感をもって進める」と強調。▽全校区６年生までアフタースクール拡充▽第三子以降の特別支援制度の創設―など子育て支援策をはじめ、▽市民病院第二期構想の推進▽高齢者や障がい者の活躍支援▽６次産業化の取組強化―などを公約に盛り込み、「約束したことは実行する」とアピール。年代や支持政党を問わずまんべんなく支持を集め、トップの９０６１票を獲得した。
　「経験と実績を生かして市民に恩返ししたい」と昨年９月、副市長を辞職。候補者３人の中で最後に立候補を表明した。懸念された出遅れを市議９人の応援や連合の推薦を取り付けるなど組織戦で挽回。告示の時点では優位に立ち、追いすがった他候補を振り切った。
　「当選確実」の一報を受けた明石氏は妻・正子さんとともに登場。事務所内は大きな拍手と歓声に包まれた。支援者とともに万歳三唱を繰り返して初当選の喜びを分かち合った。
　熾烈を極めた選挙戦を終え、「ほっとした」と安堵した一方、「ここからがスタート。政策で恩返しする」と改めて決意を表明。「全力で頑張れる機会を与えてもらえた。とにかく変えたい。新しいことに取り組みたい」と市政改革にも意欲を見せた。
　▽萬代新一郎・後援会長の談話＝「保守対決だったので、有権者がどう反応するのか読みづらかった。陣営が結束し、一丸となったことで勝利を呼び込めた」
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牟礼氏「赤穂市発展のために活動」
　３６年間勤務した県を退職し、「国、県とのパイプ役を果たす」と昨年８月に出馬表明した牟礼氏。「少子化対策・元年」のスローガンの下、学校給食費無料化を公約に掲げた。市議５人のほか、告示直前に山口壮衆院議員の支援を受けて選挙戦終盤に追い上げたが、わずかに届かなかった。
　他候補に当確が出たことを知らされ、硬い表情で支援者の前に現れた牟礼さんは「支援いただきましたのに、不徳の致すところ。誠に申し訳ございません」とおわび。「政策について十分な理解を得られなかったのは残念だが、『赤穂市を変えてほしい』との民意は感じた」と選挙戦を振り返った。
　「次がある」「もう一回頑張って」と励ます支援者の声には「私自身に何ができるか、よく考える」とした上で、「赤穂市の発展のため、子どもたちのために活動をしていきたい」と思いを語った。
　▽杉田靖興・後援会長の談話＝「残念の一言。手応えはあったが。（明石陣営の）組織力を思い知らされた。投票率がもっと上がっていれば結果が変わっていたかもしれない」

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矢野氏「支援に感謝の気持ちのみ」
　矢野氏は昨年５月に、「生まれ育った赤穂のために率先して行動する」と名乗りを挙げた。「２０年先まで見据えた市政で人口減の現状を打破する」「民間の視点と発想で経済効果を生み出す」などと主張。地域活性化、雇用創出などを施策の柱に商工関係者と若年層から支持拡大を図ったが、無党派層を呼び覚ますことが出来なかった。
　落選が決まると、支援者のため息が部屋を覆った。嗚咽をこらえきれずに涙する女性も。あいさつに立った矢野氏は「みなさんのご支援に感謝の気持ちしかありません」と謝辞を述べ、「やれることはやってきたつもり。私の責任」と深々と頭を下げた。
　「若者の票の掘り起こしが足りなかった。選挙の戦い方がわかっていなかった」と負けを認め、「新市長には赤穂のまちが一つになるようにしてほしい。協力できることは精一杯していきたい」と気丈に話した。
　▽寺田眞康・後援会長の談話＝「街頭演説中に握手を求められるなど、幅広い支持をもらえた実感があっただけに悔しい。もっと市民に関心を持ってほしかった」

▽赤穂市長選（最終確定）
当　明石元秀＝無新　９，０６１
　　牟礼正稔＝無新　８，８５８
　　矢野英樹＝無新　６，５７９

▽当日有権者数＝４０，５０１（男１９，２３８、女２１，２６３）
▽有効投票数＝２４，４９８
▽無効＝２０４
▽不受理・持ち帰り＝２
▽投票率＝６１・００％（男５９・４９％、女６２・３６％）

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関連ファイル：
号外_赤穂市長選


掲載紙面（PDF）：
2015年1月24日(2120号) 1面 (10,856,849byte)
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