赤穂緞通の図録冊子を自費出版
2023年02月18日
赤穂が誇る伝統工芸品「赤穂緞通」を創始した児嶋なか(1823―没年不詳)の生誕200年を記念し、歴史的経緯や製法などを日本語と英語で紹介する図録冊子『赤穂緞通/Ako Dantsu Rugs』がこのほど刊行。細部までこだわった美しい色合いで作品画像が掲載され、赤穂緞通の魅力を伝える一冊となっている。
図録冊子を企画・発行したのは御崎で「赤穂緞通工房 六月(むつき)」を開く阪上梨恵さん(39)。
阪上さんは2012年に旅行で赤穂を訪れ、初めて見た赤穂緞通の美しさに強く惹かれた。織り手になりたいと先輩作家に弟子入りするため翌年に神戸から移住。独立後は御崎に工房を構えて古緞通の修復や洗浄も手掛ける。
たたずまいの素敵なギャラリーや古民家などを会場に市内だけでなく東京、奈良など県外でも積極的に展示の機会を設ける中、「赤穂緞通についてもっと知りたいのですが何か本はありませんか」と尋ねられることが増えた。赤穂緞通について詳しくまとめた書籍としては、赤穂市立田淵記念館が2003年と05年に刊行した図録2点があるが、いずれも完売。「それなら」と自費出版を思い立ったという。
これまでに阪上さんが収集または預かった数百枚の古緞通から「網利剣」「蟹牡丹」「御寮」など代表的な文様のほか、珍しい市松模様や縞柄の作品など約30点を収録。素材や道具、製作の基になる図面なども掲載した。赤穂緞通の歴史的経緯は許可を得て田淵記念館の図録から転載した。
発刊にあたっては、展示イベントの企画やPRを通して出会った編集者やカメラマンなどが協力した。製法を紹介するページのイラストは絵を得意とする妹弟子の廣津真由さん(27)が担当。東京の展示会場で知り合った赤穂ゆかりの女性はボランティアで校正を手伝ってくれたという。
「力を貸してくださった方々を思い浮かべると、自分自身のこの十年の歩みと重なり、改めて赤穂緞通との出会いと、この仕事を通じての出会いをありがたく思います」と阪上さん。文章には赤穂緞通を考案した児嶋なか、受け継いできた先人たちへの尊敬の念がにじむ。「小さな冊子ですが、日本独自の絨毯文化と、一人の女性が生み出した赤穂緞通を知っていただくきっかけになればうれしい」と話す。
B5判64ページ。1部1800円。「赤穂緞通工房 六月」のホームページ(https://www.akodantsu-mutsuki.com/)から購入できるほか、3月3日(金)から16日(木)は阪上さんが展示イベントを開く「ギャラリー栂」(和気町清水288の1)でも販売する。
掲載紙面(PDF):
2023年2月18日号(2496号) 1面 (13,257,809byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
赤穂緞通作家の阪上梨恵さんが児嶋なか生誕200年を記念して自費出版した図録冊子
図録冊子を企画・発行したのは御崎で「赤穂緞通工房 六月(むつき)」を開く阪上梨恵さん(39)。
阪上さんは2012年に旅行で赤穂を訪れ、初めて見た赤穂緞通の美しさに強く惹かれた。織り手になりたいと先輩作家に弟子入りするため翌年に神戸から移住。独立後は御崎に工房を構えて古緞通の修復や洗浄も手掛ける。
たたずまいの素敵なギャラリーや古民家などを会場に市内だけでなく東京、奈良など県外でも積極的に展示の機会を設ける中、「赤穂緞通についてもっと知りたいのですが何か本はありませんか」と尋ねられることが増えた。赤穂緞通について詳しくまとめた書籍としては、赤穂市立田淵記念館が2003年と05年に刊行した図録2点があるが、いずれも完売。「それなら」と自費出版を思い立ったという。
これまでに阪上さんが収集または預かった数百枚の古緞通から「網利剣」「蟹牡丹」「御寮」など代表的な文様のほか、珍しい市松模様や縞柄の作品など約30点を収録。素材や道具、製作の基になる図面なども掲載した。赤穂緞通の歴史的経緯は許可を得て田淵記念館の図録から転載した。
発刊にあたっては、展示イベントの企画やPRを通して出会った編集者やカメラマンなどが協力した。製法を紹介するページのイラストは絵を得意とする妹弟子の廣津真由さん(27)が担当。東京の展示会場で知り合った赤穂ゆかりの女性はボランティアで校正を手伝ってくれたという。
「力を貸してくださった方々を思い浮かべると、自分自身のこの十年の歩みと重なり、改めて赤穂緞通との出会いと、この仕事を通じての出会いをありがたく思います」と阪上さん。文章には赤穂緞通を考案した児嶋なか、受け継いできた先人たちへの尊敬の念がにじむ。「小さな冊子ですが、日本独自の絨毯文化と、一人の女性が生み出した赤穂緞通を知っていただくきっかけになればうれしい」と話す。
B5判64ページ。1部1800円。「赤穂緞通工房 六月」のホームページ(https://www.akodantsu-mutsuki.com/)から購入できるほか、3月3日(金)から16日(木)は阪上さんが展示イベントを開く「ギャラリー栂」(和気町清水288の1)でも販売する。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2023年2月18日号(2496号) 1面 (13,257,809byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
赤穂市美術展 7部門で作品募集 市民合唱団の定期演奏会 11日にハーモニーH 第41回赤穂民報習字紙上展の入賞者 生活の中にある美術 89歳男性がアートギャラリー 5年ぶりに合同合唱も「フェスタ・アルモニカ」 [ 文化・歴史 ] 2024年07月28日世界最大級のレプリカも「三葉虫化石展」 [ 文化・歴史 ] 2024年07月28日愛着ある故郷描く 米寿の水彩画展 [ 文化・歴史 ] 2024年07月20日土器に見る「炊飯の歴史」 有年考古館で企画展 [ 文化・歴史 ] 2024年07月20日刷毛の跡までリアルに 埴輪ミニチュア [ 文化・歴史 ] 2024年07月12日赤穂ゆかりの作家中心に40点「未公開収蔵品展」 [ 文化・歴史 ] 2024年07月01日秋祭りの御神米 子どもたちが「お田植え」 コンセル・ヌーボ第40回定期演奏会 16日にハーモニーH 元赤穂書道会長の故新家一夫さん回顧展 [ 文化・歴史 ] 2024年06月03日会員の力作40点 赤穂美術協会展 31日から [ 文化・歴史 ] 2024年05月27日「水のある風景」テーマに写真展 [ 文化・歴史 ] 2024年05月26日
コメントを書く