京都で「幻の赤穂緞通」展
2008年03月28日
「幻の赤穂緞通展」出品前の修復された古緞通
主催は市民有志らで作る「幻の赤穂古緞通プロジェクト」。市教委が平成3年から開いた「赤穂緞通織方技法講習会」の1期生で、汚れや傷みで使われなくなった古い緞通の修復に取り組んでいる御崎の米田尋美さんを中心に昨年2月から準備してきた。
赤穂緞通に造詣の深い京都の古美術商やインターネットオークションなどから購入。いずれも戦前に織られた貴重な品物だが、虫食いや染みを理由に粗末に扱われていたものばかり。中には玄関マットとして使われ、泥だらけになっていたものもあったという。
「赤穂の文化遺産なのに。何とかよみがえらせて再び生活の場へ戻したい」
取扱いの難しさゆえに、「緞通には手を出さない」とかたくなだった染み抜き業者を説得し、試行錯誤の末にクリーニングに成功。毛足が乱れているものには鋏を入れて筋を整え、仕上げは昔の技法に則り「敷き伸し」。板に打ち付けた緞通に水をかけて天日干しすると、往時に近い風合いがよみがえった。
すでに完成している緞通の短い毛足を摘むのは新作を手がけるよりも至難で、1枚につき1カ月以上要したものもあったという。プロジェクトメンバーの一人で講習会3期生の橋羽一恵さん=福浦=は「どこまで鋏を入れるべきか判断が難しかったが、貴重な赤穂緞通を活かしたいとの思いを込めた」と作業を振り返る。
赤穂市教委が平成15年に京都で行った調査では、祇園祭で山鉾町の旧家が自慢の美術品を展示する「屏風飾り」に敷かれている緞通の多くが実は赤穂緞通だったことがわかった。それらは残念なことに、「佐賀の鍋島緞通」と伝えられており、「作品が多く存在する京都で赤穂緞通の知名度を少しでも上げたい」との狙いもある。
修復した古緞通は一畳敷き16種類20枚。「利剣」「亀甲」「牡丹」など代表的な図柄のほか、過去に見ることのなかった特注品と思われる文様も。一畳敷きとしては修復不可能なほどに損傷がひどかった3枚は額縁仕立ての小物作品17点に姿を変えた。市民から受贈した4畳半敷きを含む合計50点近くを展示し、修復実演も披露。古緞通と小物作品は販売も行う。
緞通制作を習い始めたころ、粗大ゴミの中に古緞通が捨てられているのを知り、「涙が出そうになった」と語る米田さん。修復への思いはそれ以来、ずっと心に持ち続けてきた。「念願がかないました。うれしいの一言です」と喜びを語った。
開館時間は午前11時〜午後8時。市営地下鉄「烏丸御池駅」から徒歩3分。問合せはTel075・255・4743。
<前の記事 |
関連サイト:
■「幻の赤穂緞通」展
掲載紙面(PDF):
2008年3月29日(1786・1787号) 5面 (13,242,048byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ 文化・歴史 ]
高砂市美術展 日本画で大賞 [ 文化・歴史 ] 2019年02月08日全国銀賞 赤穂小金管クラブ 10日コンサート 弥生中期最大級の銅鐸復元に成功 [ 文化・歴史 ] 2019年02月01日1日から赤穂美術家連合会展 [ 文化・歴史 ] 2019年01月29日江戸時代の地図頼りに町歩き [ 文化・歴史 ] 2019年01月27日「群象の会」第15回記念展 [ 文化・歴史 ] 2019年01月24日梅原猛氏死去 能「河勝」執筆 赤穂観光大使も [ 文化・歴史 ] 2019年01月14日ジャパンアートマイルに日本ユネスコ表彰 [ 文化・歴史 ] 2019年01月01日ジェスチャーで学ぶ漢字の成り立ち クイズラリー楽しんで郷土史学習 内蔵助自筆の暇乞い状 60年ぶり公開 [ 文化・歴史 ] 2018年12月01日国際展入選作も パッチワークキルト展 [ 文化・歴史 ] 2018年11月30日現存最古の忠臣蔵映画 東京で上映 [ 文化・歴史 ] 2018年11月29日琴伝流大正琴60団体が出演 第48回赤穂義士祭奉賛学童書道展
コメントを書く