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「幻の陶磁器」古出石焼展が開幕

 2014年04月30日 
展示品の一つ「唐草文大鉢」
 「但馬の小京都」と呼ばれる出石地方で江戸中期から明治初期にかけて作られた陶磁器を紹介する「古出石焼をこよなく愛するコレクターの逸品展」(赤穂民報社など後援)が御崎の桃井ミュージアムで30日に開幕した。
 “幻の名陶”とも呼ばれる古出石焼ばかり集めた展示は珍しく、同館オーナーの桃井香子(よしこ)さん(71)は「すばらしさを世に問うきっかけになればうれしいです」と話している。
 明治以降の出石焼が清冽で精微な白磁であるのに対し、それ以前の「古出石焼」は伊万里焼の影響を強く受けた染付や青磁などがあり、鈍重ながらも品格を感じさせる造形と躍動感のある文様が特徴。天明4年(1784)に伊豆屋弥左衛門が土焼窯を築いたのが創始とされている。古伊万里や三田青磁など他産地の製品と混同されることが多く、専門家の間でもあまり認知されていない。
 赤穂雲火焼作家でやきものに関心の高い桃井さんは昨年3月以降、陶磁器研究家の紹介で複数の古出石焼を目にする機会を得た。確かな技術で描かれた文様、豊かな想像力を感じさせる造形。「これほど魅力的なものが埋もれているのは惜しい」と展示会の開催を提案したところ、神戸、豊岡、明石など約20人のコレクターが所蔵品の貸し出しを快諾してくれたという。
 皿や花生など江戸後期の製品を中心に約50点を展示。古出石焼の特徴を示す「寿くずし文」が底裏に入った赤絵の小皿、三重塔をかたどった染付の置物など稀少な品が並ぶ。ほぼすべての展示品が一般公開は初めて。桃井さんは「名もなき陶工たちのひたむきな努力と息吹を感じ取ってほしい」と鑑賞を呼び掛けている。
 2階展示室で鑑賞料500円。6月9日(月)まで午前10時〜午後4時。火曜休館。TEL56・9933。
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関連サイト:
■桃井ミュージアムのホームページ


掲載紙面(PDF):
2014年5月3日(2086号) 1面 (8,455,327byte)
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