「オホサケ神」は“まちづくりの神”
2012年11月26日
秦氏一族と「オホサケ神」との関連について講演した井上満郎・京都市歴史資料館長
秦河勝の名が歴史上の文献に現れるのは4回しかないが、聖徳太子の側近として外交、国内統治に関わり、熱心な仏教崇拝者だったことが読み取れる。
河勝を生んだ秦氏一族がいつ渡来したのか。その手がかりになるのが、平安中期の文献『政事要略』で、秦氏が現在の京都市右京区にあたる一帯で「葛野大堰」を造築したことが書かれている。その地域では5世紀中葉に突如として首長墓が築かれ始めており、おそらくこの時期に秦氏による灌漑工事が行われたとみてよい。
「オホサケ神」は秦氏一族の氏神だ。「オホサケ」には「大酒」「大辟」のほかに「大裂」の字を当てる説がある。「裂く」には「開発する」との意味があり、「オホサケ」は「大いに土地を開発した」と解釈するのが妥当だろう。
記録によれば、かつて旧赤穂郡内には少なくとも大避神社が28社あった。他地域に比べて突出して多く、それだけ「オホサケ神」を信仰する人たちが多く居住していたことを示している。
秦氏一族をはじめ、朝鮮半島からやって来た渡来人が日本の文化、文明を大きく推し進めた。旧赤穂郡においても在野の人たちと一緒になって地域開発を果たしたのだろう。数多く残る大避神社はその名残と言える。
* * *
同講座の次回以降の開催は次のとおり。無料。申込みはTEL43・0275。
▽12月8日(土)=「考古学と播磨の渡来伝承」寺沢知子・神戸女子大学文学部教授
▽12月22日(土)=「司馬遼太郎の作品について」玉田克宏・姫路文学館課長補佐
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2012年12月1日(2016号) 3面 (8,304,197byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ 文化・歴史 ]
頭人行列に獅子舞 3年ぶり「神幸式」 [ 文化・歴史 ] 2022年10月17日国重要無形民俗文化財「坂越の船祭」3年ぶり開催 [ 文化・歴史 ] 2022年10月10日市民文化祭の生花展「高齢化で最後」 [ 文化・歴史 ] 2022年10月08日「川柳赤穂吟社」10周年記念で誌上大会 投句募集 [ 文化・歴史 ] 2022年10月08日田辺眞人氏の歴史発見講座 50人募集 風景写真西播磨 会員10人作品展 [ 文化・歴史 ] 2022年10月03日ル・ポン開幕前会見 樫本さん「人生に残るコンサートに」 [ 文化・歴史 ] 2022年09月30日ル・ポン国際音楽祭 2日開幕 赤穂公演の残席わずか 「声楽の甲子園」初の2年連続県代表 [ 文化・歴史 ] 2022年09月26日「ひょうご五国」巡回展 赤高生が音声ガイド [ 文化・歴史 ] 2022年09月17日「赤穂緞通の魅力伝えたい」織り手志望の女性が絵本 [ 文化・歴史 ] 2022年09月09日絵手紙始めて3年 95歳初の作品展 [ 文化・歴史 ] 2022年09月05日逸話でひもとく史実の元禄赤穂事件 [ 文化・歴史 ] 2022年09月04日義士外伝の新作歌舞伎『荒川十太夫』10月に歌舞伎座 十州塩田の作業唄一堂 赤穂からも出演 [ 文化・歴史 ] 2022年09月02日
コメントを書く