- トップページ>
- 絵本で世界を旅しよう>
- 記事詳細
とんぼ
2018年09月15日
『とんぼ』○詩/チョン・ジョンチョル ○絵/イ・グヮンイク ○訳/おおたけきよみ ○岩崎書店
『とんぼ』は、韓国の絵本です。さぞ楽しい物語と思っていましたが、そうではありません。
野原の花の根元で、一匹のトンボが死にました。アリたちが集まり、「たるらん、たるらん」(野辺送りの葬列で鳴らされる鈴の音)と鈴の音を響かせながらとんぼの弔いをするのです。美しい絵に秘められたアリによるトンボの葬儀に一瞬唖然としました。
訳者のおおたけきよみさんは、「死は自然の摂理であって、恐怖ではないのです」と、本の帯に書かれています。
たしかに、この世に生を受けたものは、必ず「死」を迎えます。そのことをこれほどまでに静かに、そして美しく描いた絵本に出会ったことはありません。朝鮮文化の崇高さのようなものに触れた気がしました。
なお、赤穂にも「とんぼ」の話が伝えられています。『赤穂の昔話第二集』を手にしてもらえればうれしいです。
* * *
『とんぼ』○詩/チョン・ジョンチョル○絵/イ・グヮンイク○訳/おおたけきよみ○岩崎書店
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2018年9月15日(2293号) 3面 (11,564,347byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ 絵本で世界を旅しよう ]
かぜのでんわ 2021年03月11日ソフィー・スコットの南極日記 2020年12月05日中国のシンデレラ 2020年11月21日アイヌ文化に思うこと 2020年11月14日「本と図書館の歴史」に学ぶ 2020年10月31日アメリカの神話 2020年05月02日つぼつくりのデイヴ 2020年03月20日おじいちゃんの思い 2020年03月07日たいせつな友だち 2020年02月22日タンザニアのおはなし 2020年02月08日恐竜への思い 2020年01月25日あおくんときいろちゃん 2020年01月18日チーズとねずみ 2020年01月01日幻の絵本 2019年11月30日文字のない絵本 2019年11月23日
コメントを書く