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赤穂の昔話・第24話「鯰峠の伝説」(上)

 2021年02月06日 
 
 昔、西有年の馬路池のほとりで、ひとりの美しい娘が夕方になると決まって現れました。村の若者たちは、よるとさわると、この娘の噂です。
 「きっと、隣村の娘にちがいない。それにしても美しい娘だなあ。一遍でもええから話がしてえなあ」
 その日も、娘が馬路池のほとりにあらわれました。日が暮れかかると、峠を登っていきます。村の若者たちがあとをつけると、娘は峠の頂上で立ち止まりました。
 すると、山野里の大池のほうから一人の若者が峠を登ってきました。娘はうれしそうにかけていき、仲よく寄り添いました。
 二人は逢瀬を楽しみ、別れを惜しみながら別々に峠をおりていきました。村の若者たちは悔しくてなりません。
 「山野里のもんに、娘をとられたど」「こらしめてやろう」と、口ぐちにいいながら、今度は若者のあとを追いかけていきました。
 若者の足は早く、なかなか追いつけません。ようやく、大池のほとりで追いつき、声をかけようとした時です。突然、若者の姿は大きな鯰に変わり、池の中へと消えていきました。
 おどろいた村の若者は、しばらくは口もきけず、気が抜けたようにぼう然としていました。ふと我に返った一人の若者が叫びました。
 「コリャ大変だ。あの娘に知らせてやらんと、大鯰に食べられてしまうぞ」
 娘に伝えようと、急いで峠の道を引き返して駆け出しました。
 馬路池のほとりで、村の若者たちは娘に追いつきました。おどろいたのと、走ってきたのとで、若者の息ははずんでいます。とぎれとぎれに、今見てきたことを話して聞かせました。
 話を聞いた娘は、ニッコリと笑い、頭をさげたかと思うと、たちまち鯰の姿に変わって、池の中に消えていきました。男は大池の、そして娘は馬路池の主の鯰だったのです。(つづく)=切り絵・村杉創夢
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掲載紙面(PDF):
2021年2月6日号(2403号) 4面 (10,926,494byte)
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